停滞した天気が続き、気分も塞ぎがちに……。
変異型のウィルスが猛威を振るい、新規感染者数だけはとどまることなく増えていく現状。
行き場のない不満が募り、やるせなさともどかしさが経済を疲弊させていきます。
思うようにはいかないもの、と天を仰げば雨粒が……。
顔で笑って心で泣いて、ふと寅さんの映画を思い出します。
1作目と2作目は、やっぱり外せませんね。
そこを観ないと、あとに続いていかない感じです。
若い頃の期間にしか正方向に動かない純粋な気持ち。
夏の日の美しい夕暮れのように、切ないまでの耽美。
虚勢を張ってみては、唇を噛み締めるような……。
寅さんの映画には、大人になるにつれ置き去りにしてきたやせ我慢の美学のようなものをどの作品からも汲み取れます。
いくつになっても少年のまま。
でも、現実はそうはいかないものです。
似たような感覚を、私は『明日に向かって撃て!』あたりの映画にも感じます。
破滅的な方向に流れて行きながらも、楽観的な姿勢を忘れない感覚。
かなり以前のことですが、発展途上国の貧しい女性に対してのインタビュー記事を目にした時に、ハッとさせられたのを覚えています。
『どうして、辛くてもそんなに笑顔でいられるのですか?』
というような質問に、
『笑うことしかできないから』
というような内容の回答でした。
『雨にぬれても』という楽しくも軽やかな旋律は、どんな状況であろうとも楽しむことを忘れずにいさせてくれる、そんな明るさを湛えた曲のように思えます。
ヤマハの教室に通っている時に、練習曲として教本に載っていました。
今日も雨です。
久し振りにその練習曲をアルトサックスで吹いてみましょうかね。

