魚屋さんで、いろんな魚に目移りしても、気に入ったものすべてを持ち帰ることはできません。
自分は、魚屋さんではないからですね。
家の冷蔵庫、そんなに小さくはないものの、許容量は一般家庭そのものです。
それは、消費可能な分量を美味しく頂くためのもの。
身体にいい、と言われるものを大量摂取。
水溶性だから安全と言われていたビタミンC。
でも、近年ではいくつかの副作用の症例がささやかれています。
このコロナ禍で、すべてにおいてスローダウンです。
医療従事者の方の負担になりたくないので、怪我や病気には要注意。
日々の生活からはスパイスが薄れ、もの寂しさを覚えてしまう今日この頃。
『オンリー、カストロール!』
映画『アメリカン・グラフィティ』での一コマ。
主人公、カートが大学へと飛び立つ前の、たった一夜を切り取った物語。
今では、字幕なしで空気を読み取れるほどに。
初めて出会ったのは、高校生の頃。
憧れの東京に出て、バブルを体感。
その間、レコードからCDへ。
レンタルビデオ全盛時代。
そして、ポケベルから多機能な携帯電話へと利便性に拍車がかかります。
時代は大きくうねりながら、身体に貼りついた過去の産物を容赦なく削ぎ落としていきます。
良くも悪くも、その勢いは加速度を増していきます。
水かさの落ち着いた川底に目をやると、いくつかの断片が取り残されていることに気づきます。
柔らかな陽射しを受け、懐かしい輝きを放ちながら……。
書棚に並ぶ背表紙を眺めては、懐かしく手に取ってみたり。
レコードやCDについても同じこと。
ケータイで聴くのではなく、音の良さに特化したオーディオシステムで。
心の潤滑油。
それが、私のカストロールなんだと改めて思います。
今日も、薄くて手軽なダウンよりも、手入れに手間のかかるスタジャンを着ての出勤です。
気持ちを温かく包んでくれます。
しなやかで強い、まるでシルクのような演奏。
心地よくも切ない感じの『save the last dance for me』。
優しい時間が流れます。

