主演でもないのに、なぜ脱がなければならない?
迷いながらも女優としての枠組みから足を洗い、新たなステージを求めて一歩を踏み出す。
ある時ジャズに触れ、それ以降ジャズ・ボーカルの道へとシフトします。
客観的に見れば自然に映ることが、主観的にはまるで違うことがあります。
全体を構築する部分をどうとらえるか、それによってずいぶん感じ方も変わるものです。
そこには確固たるプライドが存在します。
そのプライドこそが、力強い推進力となって、未来へと希望を繋げていきます。
ジャズ・ボーカルのレコードを聴いては真似、発音、特に子音の乗せ方を勉強されたようです。
評論家や一部の連中の誹謗を横目に、自分が信じる道を邁進する。
そのうち、サイドを固める演奏者の顔ぶれが一流のジャズメンへと変わっていきました。
私は、折に触れ、そんな彼女の逸話を思い出したりします。
一生懸命に頑張っていると、いつの間にか強力な助っ人が周りを固めてくれていることに気づきます。
嫌になることもあります。
また、自信を失うことだって、時々あります。
どうかな、と迷うこともしばしば。
でも、中心軸はそのままに、回転しているのだから多少のブレは当然のこと。
勢いよく回っていれば大丈夫。
阿川泰子の【オールライト・ウィズ・ミー】。
これは凄いです。
メンバーが、いくつもの荒波を乗り越えてきた強者ばかり。
ピアノは、トミー・フラナガン。
ベースは、ジョージ・ムラーツ。
そして、ドラムスは、アート・テイラー。
なんとも豪華です。
私は、【サングロウ】からのファンですが、前後合わせていくつかのレコードやCDを持っています。
当時、CMで使われていた【シニア・ドリーム】を聴いて、彼女の魅力にサレンダー・ディア。
やっぱり、こうでなくっちゃ!、という演奏が詰まっています。
今でもよく手が伸びるレコードの一枚ですね。

