その瞬間の一コマを逃した時、決まって小さな溜め息が出るもの。

どれだけ待ってみても、失われた断片は二度と戻ることはない。

 

そんな経験は、これまでに幾度となく遭遇しました。

大小含めて多いです。

その都度リプレイできれば、胸の奥に広がる苛立ちや葛藤を瞬時に鎮めることができるのですが……。

 

若い頃、無限に思えた時間の概念はすでになく、発熱や焦燥による誇張さえもうどこにも見当たらない。

 

自分が関わることについての瞬間を大切にしたい、とそんな気持ちが年々強くなってきます。

 

ソファから立ち上がる時でさえ、掛け声が動作を補います。

歳のせいですかね。

 

会社の玄関先、ついと舞い降りてきたすずめを眺めながら、ふとそんなことを思いました。

 

晴れ間を呑み込んだねずみ色の雲が――薄笑いを浮かべているかのように――傲然と上空を覆っていました。

 

 

やっぱり、どうしようもないこと、ということに対して、いつだって歯痒さを感じてしまうもの。

手にしている地図が本物であるかどうかなんて、それさえ確信が持てないまま。

でも、航海し続けることで、みんなの希望を先へと繋げられる。

迷いはあるけど、頼りになるのはコンパスだけ。

いくつもの嵐をくぐり抜ける覚悟はできている。

あとは、希望という風に任せて進むだけ。

 

そんなイメージですね。

葉加瀬太郎の『情熱大陸』、という曲は、荒れ狂う情念のようなものを感じさせてくれます。

意図的にコントロールするのではなく、自ら本来あるべき方向へと流れていくような感覚。

アンプのボリュームをいつもより回し、そっと目を閉じます。

その時々の心境に合った『何か』、がふつふつと湧き上がってきては、胸の奥のひだを大きく揺らしてくれます。

大好きな曲のひとつです。