昨日は、久し振りのクラシック・コンサート。

青空のもと、陽射しに溢れた光の中をぐんぐんと進んでいく。

目に映るものすべてが、まだ冬であることさえ忘れさせてくれる。

 

カーステレオからは、お気に入りの曲が次々と気持ちを前へと煽ってくる。

イーディ・ゴーメの『ギフト』からはじまり、幾つ目かでポール・アンカの『マイ・ホームタウン』、そしてナイアガラの『A面で恋をして』……。

 

不意に高校生の頃の光景が、脳裏にすっと蘇ってくる。

陽射しのようにキラキラしていた頃の記憶。

 

風を感じながら、彼女と歩いた天橋立。

名取裕子の写真集で、エッチな気持ちを満たしたり……。

門あさ美のジャケットを、レコード店で手にした時のドキドキした感覚。

学校帰り、宮津の本町通りにあった喫茶SWINGに、しょっちゅう顔を出していたあの頃。

バター・ライスが美味しくて、よく食べたもの。

 

高速を降りて、御池の駐車場へと潜り込む。

そこからは、地下鉄で北山へ。

演目は

ベートーヴェンの『アテネの廃墟』

バーンスタインの『ハリル』

ショスタコーヴィチの『レニングラード』

耳が慣れていない私には、少しきつめの演奏。

ただ、クラシックのはずなのに、ある種グルーヴのようなものを感じた。

打ち寄せる波のようなリフレインは、次第に感情を起伏をいやがうえにも増幅していく。

 

先日のアルトサックスのレッスンで、先生に褒められたことを思いだしては独り笑い。

 

音楽は、気持ちを揺さぶるもの。

小説は、温度を持たないぶん、情景描写や行間に感情を注ぐ。

 

帰りの本屋さんで、ひょいと見かけた本を手にしてキャッシャーへ。

実在を超えた人間像の在り方には脱帽させられる。

ひょっとして人は、本当のことよりも綺麗な嘘のほうが心地良いものなのかもしれない。

 

あの頃の感覚を礎に、積み重ねた季節をうまく伝えられれば、と思う。

まだまだ発展途上である未熟な自分を楽しみながら。

 

昨夜は口なおしにと思い、自分の部屋でジャズ・ピアノの音色に身を委ねる。

キラキラとした音符の繋がりは、自分にとっての極上のトランキライザーそのもの。

取り立てて名盤とも話に上がらないこのフレディ・レッドの『サンフランシスコ・スート』。

つい、手が伸びてしまう。