今日は、朝から雨が降りしきっています。

アスファルトを叩く雨粒は、その場所にとどまることなく群れを成しては側溝へと、勢いよく流れ込んでいきます。

まるで、堪えきれなくなった悲しみが頬を伝って流れ落ちるような感じがして、煙草を手にしたまましばらく見入っていました。

 

しとしとと降る雨は、感傷的な感覚を呼び起こします。

 

過去の自分の身勝手さを、その時の自分の軽はずみな行動や言動を、ついと思い返しては苦笑い。

内省と悔恨は、自己の成長には欠かせないもの。

潜在意識に横たわる果てのない海原を揺蕩いながら、手に触れる様々な断片の浮遊物をそっと拾い上げてみる。

時間軸は崩れ、確かな記憶は存在しない。

そこには、贅肉を削ぎ落とした自分がいるだけ……。

 

自分の可能性をどこまで真剣に考えていたのか、そんなことは遠い昔のこと。

潮騒に似て、優しく郷愁を誘います。

今では、時々懐かしんでは独り笑いです。

 

そんなことを思ったのは、雨のせいかもしれませんね。

ヴィクター・ラズロの歌声が、ひょっとしてそんな気持ちを思い起こさせたのかも……。

彼女の歌は、雨の日や夜なんかがよく似合います。

淡いノスタルジーを引きずった歌声は、どうにも心を揺さぶります。