今日は、晴天です。

やっぱり気持ちがいいものです。

視界が開け、目の前には鮮やかな景色が広がります。

 

霧に包まれて、不安の中で、どう動けばいいのかわからない。

今歩いている方向が、果たして目的地へと続く道なのかどうか……。

 

そんな時は、むやみにもがくのをやめて、霧が晴れるのをじっと待つほうがいいですね。

若い頃、準備もおろそかに、伊豆スカイラインをバイクで走った時を思い出します。

5メートル先が見えません。

大きなカーブをやり過ごした時に、パカッという渇いた音がヘルメットを超えて耳に入り込んできました。

『やっちまったな!』

そう思って、バイクを止め、走って行って近づいてみると、ガード―レールの外側で倒れ込んでいました。

先を焦って走った見返りに被った事故でした。

立ち止まるいくつかの車に救急車の要請を頼み、運よく看護婦たちのグループがいてくれて、頭からヘルメットを外し、身体を慎重に横たえました。

その夜は、熱海の病院で一夜を明かしました。

 

先が見えないからといって、周りを羨んだり、自分を卑下することなく、ただじっと羽根を休めることに専念してほしいもの。

関越トンネルみたいな長いトンネルは、初めて走った時は不安になったものです。

どのくらい続くのか、楽しみながら走っていくと、感じ方も変わります。

 

私は、若い頃、自信を失い、落ち込み、その時にどうしようもない虚無感を味わいました。

ゼロからはじめる思いで立ち上がり、恐る恐る一歩を踏み出したことを覚えています。

家内は今、霧の中を歩いているのだと思います。

30年間、パートとして、編み物の先生として働いてきた場所が、今年の7月に閉店したことが、どうやら最大のロスになっているようです。

どう息を吹きかけて晴れ間を作り出せばいいのか、そんなヒントを見つけたいもの。

答えは、風の中ですかね。

 

ピーター・ポール&マリーのセカンドアルバム『ムーヴィング』。

ボブ・ディランのカバー曲、『風に吹かれて』のヒットも有名ですが、私は断然『パフ』という曲が好きです。

この曲は、PPMとして、というよりPPMでしか表現できない曲だと思います。

どんな気持ちでも、爽やかな風にふわっと舞い上げてくれそうな、そんな曲です。