昨夜は、久し振りの社交ダンスのレッスンを受けようと福知山へ。
午後八時。
ワイパーが効かないほどの大雨の中、闇に包まれた峠を走り抜けます。
ヘッドライトが滲み、視界の悪さに拍車をかけます。
途中の掲示板には、霞んだ『大雨注意報発令中』の文字。
ハンドルを握る手にも無意識に力が入ります。
市内に入ると、幾つものテールランプが、雨粒の隙間を縫うように目に飛び込んできます。
国道沿いの店舗から漏れてくる眩い光は、アスファルトの上にあるはずの白いラインを呑み込みます。
激しく叩きつける雨音は、容赦なく気持ちをざわつかせます。
これからの季節のことを考えると、夜は大変かも、と思わず独り言が漏れます。
降雪に凍結。
どうしようもない不可抗力そのものです。
煙草に火をつけ、気持ちを落ち着かせます。
ビルの駐車場へと車を止め、レッスンのある教室へと向かいます。
教室の前にあるベンチに座っていると、先生が声を掛けてくれました。
『足は、もう大丈夫なの?』
『はい、おかげさまで』
そんな会話のあと、フロアーへ。
さっそく、先生に聞いてほしい曲を入れたCDを手渡します。
『ルンバと四拍子のジルバ、それにサンバが踊れるわね』、と笑顔で言葉を返してくれます。
私は、とても嬉しくなり、しあわせな気持ちに満たされました。
私よりもひとまわりほど年上の方ですが、笑うとパッと華やかな空気が漂う方です。
可愛らしい小さな花のような。
ルンバのステップ。
すべてが流れに沿って動くもの。
引っ張るのではなく、止める。
添える手は、決して握るのではなく、相手の小指と薬指にそっと掛けるように。
意味を理解すると、動きにも表れてきます。
またひとつ、ルンバの魅力に惹きつけられました。
名越さんと踊ったジルバを、今度先生とも踊ってみたいな、とふと思いました。
『ドラマティック・レイン』、という曲があります。
稲垣潤一ですね。
私は、一枚目と二枚目が好きで、時々聴きます。
雨っていいですね。
気持ちをしっとりと濡らします。
また社交ダンスをはじめることができて、とても嬉しかったですね。
昨夜は……。

