今朝も、晴天です。

でも、心なしか夏の終わりを感じさせます。

キャロルの名曲『夏の終わり』を思い出します。

 

今年に入ってからというもの、大きな問題が二度ほどありましたが、今のところは落ち着いています。

ものの考え方や対処の仕方など、今の私があるのはひとえにその方のおかげです。

 

今はもう亡くなられましたが、事務所の入ったところの額の中に堂々としておられます。

私は、その事務所を訪れる際、必ずその写真に一礼をします。

 

かなりのワンマンでしたが、そのぶん懐の深さは星新一さんのかめの話のように、底が見えないほどでした。

一代で築き上げた自信と誇りがオーラとして威厳を放ちます。

とてもおっかないのですが、時折見せる笑顔に私はとても惹かれました。

『今、どこにおる? 来れるか?』、なんて、よく携帯に連絡が入ってきたものです。

取引先という関係以上の間柄になったのは事実です。

 

目が疲れる、とよく言っておられたので、薬局で販売しているブルーベリーの飴をことあるごとに差し上げました。

すると、ある時『ちょっと、これを』、と事務員さんが私の目の前に差し出してくれました。

袋を覗くと、どうやらネクタイです。

3本入っていました。

『社長が、あいつが来た時に、これを渡すように、と』、と事務員の方が笑顔で話してくれました。

その後、何かお礼をしないと、どうしても気が済まないので、よく考えた挙句、クロスのボールペンを差し上げました。

 

 

今は、息子さんが社長をされています。

社長就任のお祝いとして、先代の社長に差し上げた同じクロスのボールペンを差し上げました。

すると、『そういうものには頓着しなかった父だったが、どういうわけか、そのボールペンを愛用していた』、と聞き、涙が出そうになりました。

 

人の縁とは、不思議なものです。

でも、先へと進まないと、自分にとって有用な人かどうかなんて到底わからないものです。

どんな時でも真摯に向き合う姿勢の大切さを、その先代の社長から学んだような気がします。

男気のある方でしたし、私の身の振り方にもずいぶんと心配をしてくれました。

私が、独立することを強く勧めてくれていたのもその方でした。

 

『あの人は、いつもポールさんのことを心配していましたよ』

そう、しみじみと事務員さんが話してくれた時も、苦いものが胸を熱くさせました。

 

亡くなられて10年になります。

 

これからもずっと、その取引先とは一緒に歩んでいけたら、と思っています。

 

 

師匠のような存在の人のおかげで、迷わずここまで来れたようにも思います。

今は、次を任せる従業員を育てています。

あんなにも大きかった先代の社長のようにはいかずとも、道理を踏まえていろいろなことを伝えていきたいと思っています。

 

 

私はあなたを皮膚の下まで取り込んでしまったわ
私の心に、深くあなたをつかまえたわ
あんまり深いので、まるであなたが私の体の一部になったみたい
あなたはしっかり私のものよ

 

微妙な訳ですが、そういうことですかね。

ジャズ・スタンダードの素敵な曲です。

『I've got you under my skin』

邦題は、『あなたはしっかり私のもの』です。

フランク・シナトラのバージョンでどうぞ。