今日も、雨がしとしとと足元を濡らしています。
裏手の笹の葉が鮮やかな緑を呈しています。
メダカの鉢にも、雨粒がリズムを刻みます。
昨日は、思わぬことで浜ショーの曲について話をしていました。
中学生の頃、ラジオ番組で『ラストショー』を耳にして好きになったアーティストです。
作詞家のように綺麗な言葉ではないものの、感性に突き動かされた情熱は、まるでごつごつとした原石のように鈍い光を放っています。
松本さんや有川さんのような方は、丁寧に不要なものを削ぎ落とし、ソフィスティケートという研磨剤で本来の輝きを与えるのだと思います。
個人的には、有川さんのほうがグッときますが……。
初めはずいぶんと勉強をしたようです。
それこそ松本さんの詩集を見られたようです。
『路地裏の少年』を引っ提げてレコード・デビュー。
ジャケットの雰囲気は、ボブ・ディランのアルバム『フリー・ホイーリン』の影響を強く感じさせます。
でも結果は、予想を大きく下回るセールスだったようです。
「そんな曲は売れないから、拓郎さんのような曲を書けば?」
そんなような言葉を浴びせられたように記憶しています。
微妙に曖昧なので、間違っていたら申し訳なく思います。
こうぞ、ご勘弁を……。
『星の指輪』あたりからは、ずいぶん洗練された歌詞で、初めの頃からの絶妙なコーラス・ワークと相まって、とても素敵な印象を与えてくれました。
コーラスなんかは、山下さんよりもずいぶんカッコよく、ぴったりとはまっていて曲全体を豊かに色づけされていたように思います。
5年ほど前に、出版社の方に、太宰治は、はじめはインディーズ、つまりは自費出版からはじめた人だ、とお聞きしました。
当時と今では時代背景を含め、同じ土俵では単純に比較できないものの、浜ショーと同じく感性に突き動かされた情熱は亡くなってからその素晴らしさを世に知らしめるという結果を招きます。
また、清志郎の場合は、自分の信念に従い、メジャー・レーベルからインディーズへと。
方向さえつかめない大海原に飛び込んだ時に大切なのは、確固たる信念を持ち続け、諦めずに取り組み続けることのように思います。
原石の鈍い光こそ、人を惹きつけるものなのかもしれません。
伸びしろを信じるか信じないか、それは各々の信念に基づくもの。
燻らせながらも情熱を胸に抱き、チャンスを掴むと同時に一気に放出する。
カップ・ヌードルのCM『風を感じて』で一気に上昇気流へ。
そして、アメリカでルカサーをバックにレコーディング。
なんとも勇気をもらえるアルバムです。
今も大好きな一枚です。
是非、どうぞ。
浜ショーが、したいことを表現できた初めてのアルバムだと思います。
『HOME BOUND』

