今、窓の外では、火照った気持ちを鎮めるように、朝から冷たい雨が降っています。

 

何かをしたい、とかの自然に思う気持ちに理由なんて必要ではありません。

 

私の家には、犬が二匹います。

 

ダックスのレッドとブラックタンです。

 

 

うちに来て、かれこれ10年と8年です。

 

里親探しのNPOから引き取った子たちです。

 

一匹は、祖父にあたる犬がチャンピオン犬の血統書がついていますが、

どういうわけか売れ残り、繁殖へ回される寸前の子。

 

もう一匹は、生まれながらにして奇形で、すぐさま繁殖に回されたものの、

何度か目の出産の折、子宮を摘出してしまい、殺処分寸前の子です。

 

私は子供の頃、将来犬を飼うなんて想像すらしていなかったと思います。

 

小学校の低学年の時に、海辺で犬に追いかけられ、車のボンネットの上に乗ったりして逃げ回った記憶があります。

 

人は変わるものですね。

 

帰宅すると、うれしそうに声を立てながら、ツンテ、ツンテと二匹とも腰あたりに飛びついてきます。

 

無防備なその仕草が可愛くてたまりません。

 

ついつい、“いいもの”をあげてしまいます。

 

来客があると、レッドのほうは天真爛漫を絵にかいたようなはしゃぎっぷりを見せるのですが、ブラックタンのほうは敵意を思わせる吠え方で軽く威嚇します。

 

人に対しての警戒心が強く、散歩をしていても人にすれ違うたびに唸り声を上げます。

 

トラウマのようなものが、しっかりと脳に焼き付いているのかもしれません。

 

膝の上ですやすや眠っている寝顔を見ていると、それだけで気持ちが解放されます。

 

何の心配もなく全幅の信頼を寄せてくれていると思うと、こんな私でも気持ちが凛とします。

 

結局、理由なんて必要ないんですね。

 

そう思うと、清々しいほどの潔さに包まれ、ささやかな勇気が湧いてきます。

 

 

ジョーン・バエズのライブ盤、『FROM THE HEART-LIVE』。

朝陽を身体いっぱいに受けて、生きることの悦びを分かち合うような、希望に満ちたような空気感がそこらじゅうに横溢しています。

ボブ・ディランやエミルー・ハリスが生き生きしていた70年代の頃のものだと思います。

『LILY, ROSEMARY AND THE JACK OF HEARTS』という曲、ボブ・ディランの『血の轍』のアルバムに入っている曲です。

好きな曲のひとつです。