なかなか自分を認められない頃がありました。
自分にはどんなことでもできる、という自負。
どんな難局でも打破していけるという、思い込み。
半面、足元からぐずぐず崩れていきそうな不安と焦り。
それをかき消すように、思いっきり虚勢を張る。
幻影が砕け散った時、人と顔を合わせることさえひどく疎ましく思え、
陽射しを避けるようにあなぐらへと逃げ込む。
完璧に打ちのめされ、自我を意識の淵へと深く沈め、思惟の泉に横たわり自己と向き合う。
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私の場合、20代の終わりごろです。
逃げ場を探し、外気に触れることさえ息苦しかったように記憶しています。
自分の弱さを認めることはとても難しいことです。
プライド(実のところは単なる見栄なのですが……)が邪魔をして、
視界に霞がかかり、正確に姿かたちを捕えられなくなってしまいます。
自己基準が物事の是非についての判断を左右してしまいます。
教える立場になって、ふと思い出します。
自分の過去を見ているようで、ある意味ほほえましくもあります。
頑張って、そこのところを理解し意識を深めて、
乗り越えてもらいたい、と他人ながらに思います。
『成長するってこと』。ブルース・スプリングスティーンのファースト・アルバムに収録されています。
情熱にせっつかれて、闇雲に手を伸ばしていた頃。
とても共感します。『アズベリー・パークからの挨拶』。

