ニューサウスウェールズ州立美術館には、2022年に新しく建てられたばかりの新館があり、そちらも寄ってみることに。一部の特別展示を除き、もちろん入場無料。新進気鋭の素晴らしいアートの数々は、分け隔てなく誰に対しても開放されている。新館のデザインを担当したのは、プリツカー賞を受賞した日本人建築家ユニット「SANAA」による。




新館入り口に設置された、なにか暴力的なメッセージを感じるキモいモニュメント。


細部までキモい。
しかし、この根源的嫌悪感を掻き立てる感じが正にアートなのかもしれない。アートとは主張を訴えかける手段のひとつだから。


テラスには5メートルにも及ぶ、草間彌生のオブジェが厳しく聳え立つ。その名も「宇宙に咲く花2022」。

私がまだ可憐な少女であり、美術部に所属していた時。粘土の置物を作る際、美術部顧問から「背中は作るな」と言われたことを思い出した。アートとは全方面から鑑賞してアートなのだから、のっぺらぼうの背中はアートではない。だから背面にも動きを作れ、と言われた。「宇宙に咲く花2022」には、背面にも出っぱりがあったりして、のっぺらぼうの背中は無かった。

草間彌生はオーストラリアでも、絶大な人気を誇るアーティストらしい。なんで草間彌生が好きなのか?草間彌生が好きな日本人に聞いてみたら「え…なんか…ポップだから?」と言われた。そういうものなのか。

新館の中を進むと、香ばしいカレーのような匂いがする。お腹が空く。カレー屋さんでもあるのかなぁ?と、tさんと言いながら部屋を進んでゆく。軽食を食べられるカフェのみある。カレー屋さんは無い。代わりに、変わったオブジェがあった。


パンスト入りターメリック。
そんな名前では無いと思うが、匂いの正体はコイツだった。日本語ツアーを申し込んでいないから、正式名称も存在意義も、何もかも分からない。カレーの匂いがすることだけは分かる。パンストみたいな薄い生地の布に、ターメリックなどのカレー・スパイスがズッシリ入っている。通り抜けできるのかと思って、オブジェの中に入ろうとしたら、警備員に「入るな」とジェスチャーで注意された。パンストだから衝撃に弱いらしい。


よく知らない作品の前にて記念撮影。
三脚で苦戦しながら撮影していたら、外国人のお姉さんが撮ろうか?と英語で話しかけてきた。ぜひお願いをする。1本指を立てて「ナンバーワン」のポーズをする。するとお姉さんが不思議そうに質問する。
「Why?one?two?」
日本人はピースじゃないのかと訝しがる。
「ナンバーワン!」
ナンバーワンのポーズだと説明する。
「Me〜?☺💕」
私のこと〜?と、おどけるお姉さんが可愛かった。その後、ファニーポーズも撮りなさい、とアドバイスを受ける。写真はその時のもの。

ギャラリーショップも見て回る。


可愛いが、一発20AUD(約2000円)する靴下。お値段は可愛くない。





寝ている顔をした渋いマグカップ。一撃310AUD(約3万1000円)もする。アートとは奥深い。

【住所】
Art Gallery Rd, Sydney NSW 2000
【営業時間】
毎日10:00〜17:00
【定休日】
基本的に無し。
イースター・フライデーとクリスマス・デーは休館。
【電話番号】
+61 1800 679 278