標準レンズ群の最後にSepton 50mm F2。
Voigtlander社製 Septon 50mmF2ということで、
これも有名なレンズだそうです。
この日は短い時間ながら屋外にも出てみました。
なのですが、外ではあまりレンズ交換することも
ままならず、屋内屋外を撮れたのは、そのときに
α-7IIにつけていたこのゼプトンだけです。
「ゼプトン」とはなかなか印象的な響きです。
受講生の間でも、
「そんな怪獣いたよね」
と話題になっていましたが、女性受講生が多く、
ゼットンのことだとは言い出しにくく。
ちなみにレンズが7枚用いているから、ラテン語の
七=Seven=Septemから来ているそうです。
(1)Septon 50mm @F2.0
(2) Septon 50mm @F4.0
絞り開放のときの後ボケがきれいですね。
周辺減光はけっこう目立つ方かも。
比較のために現代レンズのSONY Zeiss55mm。
(3)SONY 55mm @F1.8
後ボケの量は双方似たようなものですが、
撮影距離の微妙な差が影響しているのか、
SONY55mmの方がややざわついているで
しょうか。
周辺光量落ちはさすがにSONY55mmの方が
格段に少ないですね。
Septon50mmに戻って。
(4)順光:Septon 50mm @F2.0
(5) 順光:Septon 50mm @F4.0
1960年代に製造されたレンズとは思えないほど
クリアーな描写をしていると思います。
でも周辺減光があり、何となくソフトな感じ。
それでは、と逆光に持ち出してみました。
(6)逆光:Septon 50mm @F2.0
(7)逆光:Septon 50mm @F5.0
みごとにフレアーの中です。
絞ってもあまり改善していないような。
でも雰囲気はあります。
前々回(オールドレンズ比較(1))でも載せた逆光での
ゾナー50mmを再掲載しておきます。
(8) Sonnar 50mm F1.5 @F2.8
7枚にしたからと言って、さほどフレアーが悪化
した訳でもないような気もします。
いちおうレンズ設計の解説講義もあったのですが、
基礎知識のない受講生にはかなり難しかったです。
1960年代までは、コーティング技術がなく、光が
空気面・レンズ面の屈折と同時に発生する境界面
反射によるフレアーを抑える方法がなく、苦労した
こと。
そこでレンズを張り合わせることで空気との境界面を
少なくするゾナー型レンズが戦前に発明されて、高評
価を得たこと。
(プラナー型はこの時点では現実的でない空想の
レンズタイプと考えられていたこと)
一方で、
凹レンズ凸レンズの組み合わせによる収差をガラス
では抑えられないため、偶数枚レンズを絞りの前後で
同じ順に組み合わせたレンズが一般的で、それゆえに
7枚という奇数枚のSeptonが珍しく、名前にも採用され
ていることなど。
コーティング技術と収差を抑えるための特殊硝材が
レンズ設計の自由度を高めたのだと、何となく理解
しました。
最後に少し、ポートレート撮影を試みた作例を。
(9) Septon 50mm @F4.0(プラス1補正)
(10) Septon 50mm @F5.6
以上,これらご紹介したオールドレンズに加えて、
Sonnar 85mm F2やEnnalyt 35mm F3.5、あるいは
Color Skopar 28mm F3.5などといったレンズも試して
みることができたのですが、ここでは割愛。
また機会を見て、掲載する必要性があれば載せたいと
思います。
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