標記の2作品は札幌3部作ともいわれる<孤高の黒服・黒頭悠介>シリーズの2作目と完結編である。
1作目の 『夜明け遠き街よ』は入手できていない。 如何せん、マイナーな作家(失礼)なので、あまり宣伝もされないし、店頭も並ばない。 気が付いた時には、品切れなどと云うことにる。
それは兎も角、前作の<函館水上警察>シリーズは2010年ごろの作品であるが、この2作品は2015、2016年に各々上梓されている。 1935年生まれだから、もう80歳を超えているのにまだ描き続けているのは、嬉しいことである。
舞台はバブル景気崩壊寸前の歓楽街ススキノ。 主人公はキャバレーの副支配人である黒服(どうもクラブやキャバレーのスタッフのことを指すらしい)である黒頭悠介。
“これはもう忘れられたそのころの人物、店、事件を誇張なく実物大で描いたいわば実録・・・” (著者あとがき)
打算と思惑が交錯する、欲望渦巻く夜の町、強かな水商売の女たちとその周辺の人達の姿。虚実入り乱れる街で、落ちていく女、高みをのぞむ女、キャバレーの敏腕黒服が走る。
僕には縁のない世界だし、興味もない世界だが、まあ、こんな世界もある。
それを、淡々と描く、高城 高のハードボイルド。