今、日本の精神科医YouTuberの中で最も登録者数の多い、樺沢紫苑先生の動画です。
基本的には、「死にたい」と思ってしまったら観てみると良い動画ですが
自分ではそう思った経験が全く無くても、死にたい人から相談される可能性がありますから
どなたでも一度は視聴してみることをお勧めします。
樺沢先生は、「死にたい」と思ってしまう状態を「パソコンがフリーズするようなもの」
と解説されていらっしゃいます。
単に再起動すれば良いのであって、その段階で捨ててしまうのはあまりにも勿体ないと。
つまり、「死にたい」という感情や思考は、
あくまでも病気が引き起こす誤った考えなのであって、
自分の本当の気持ちではないということ。
これを承知しておくことが、最も重要なポイントと考えます。
自分が生き続けようとすることというのは、
生きとし生ける全ての存在が持つ、一番優先的な本能だと私は思うんですよね。
それが追い込まれた状態や病気が原因で
一時的に(長めの期間の場合も含めます)、間違った考えが浮かんでしまう状態かと。
そして、もう一つのポイントは、自殺未遂の患者さんに共通する点として
後からその時のことを振り返ってみると
「あの時の自分は自分じゃないみたい」
「なんであんなことをしたんだろう?」
といってほとんどの方が自殺未遂を後悔され、
死にたいという気持ちが、自分本来のものではないと回想される、という点です。
過去に複数の内科医から聞いた経験でも
(自殺未遂の患者さんが内科に搬送されることもあります)
1週間くらい経って容体が落ち着いた頃に患者さんに振り返ってもらうと
「あの時死ななくて良かった」
「これからは、自分で死ぬことは考えない」
とおっしゃる方がほとんど、とのことでした。
ここで動画から離れますが、私が過去に本などで見聞きしたことのある
「死のうとしたけれど、助かった」という例を挙げてみますね。
・踏切に飛び込もうとしたら、バッグの中で携帯電話が鳴った。子供からの電話だった。
・ガス自殺をしようとしたら宅配便が来てやめた。荷物は沖縄そばだった。
・橋の欄干に片脚をかけたが、子供のことが心に浮かんで思いとどまった。
・曲がりくねった山道をバイクで走り、あるカーブの崖から飛び出そうとしたが
母親のことを考えているうちに、飛び降りる予定の場所を通り過ぎていた。
まさに実行に移そうとしているその時に、短時間でもいいので
何か別のことに気持ちが向くと、行動に移さず助かっていることが分かります。
樺沢先生の著書『ストレスフリー大全』を見ると
「ピークの自殺衝動は、5~10分と言われています。
誰かと30分も話していると、落ち着いた状態になれるのです。」
「(救急外来の対応で)30分ほど話をするだけでも不思議なほどに落ち着いてきます」
とあります。
これくらいの時間を何らかの形でしのげば、実行に移さずに済むということですね。
前にも書きましたが、何があっても、絶対に農薬は飲まないで下さい。
また、自殺の3~4割はお酒に酔った勢いで行われていることから
いわゆる「お酒に逃げる」ことは避けるべきだそうです。
また、無宗教と見なされる国や地域の自殺率が圧倒的に高く、
それに次いで自殺率が高いのは、自殺を明確に禁止せず輪廻思想のある仏教圏、
それに対して、宗教の教義で明確に自殺を禁じている宗教圏では自殺率が低く
自殺率が最も低いのはイスラム教圏だそうです。
日本は無宗教に近い仏教圏である上に、
昔は切腹の文化までありましたから、
宗教的な視点で考えると、自殺が多い文化圏ということになってしまいます。
宗教は自殺の防止と関係ありそうですね。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO27917660Z00C18A3000000/?page=3
とはいえ、もしも宗教と関わりを持つならば、
自分やほかの人への影響を考えることは大切です。
悩みがあまりにも深いと、選ぶということが難しく、宗教関連に限らず
言葉巧みに近づいてきた個人や団体に流されてしまう場合がありますが
その関わりによって、自分や周囲の人達によからぬ影響が及ぶことのないように
十分に注意してください。
言い換えれば、近づいてきた個人や団体が無害かどうか見極めること、
無害でないと思われる場合には、関わりを持たないことが、とても大切です。
ここは苦しくてもふんばって、他の選択肢を選んで下さい。
あなたや大切な人が、自死を避けることができますように。