少し前の話になりますが、11月19日(土)に
「無印良品の家」の6ヵ月点検を行いました。
竣工したのは1月29日ですから、ほぼ10ヵ月なんですけどね。
無印の担当の方がかなり忙しいらしく、日程の調整がつかず
工務店の方がいらっしゃいました。
職人さんらしいおっちゃんで、とても丁寧に見てくださいました。
まぁね、実際自分の家作りの打合せや引渡しなどは全て週末に
合わせてもらったし、おおめに見てあげよう。(上から目線)
さてさて、既に建てた人もこれから建てる人も、
『家の不具合はどこから始まるか』
とても興味があることでしょう。
こういう記事を関係者の人が見たら戦々恐々としちゃうかな。
しかしながら…
はっきり言ってしまえば、今のところ
不具合らしい不具合はありません。
でも細かい要望や、たとえ家の性能に影響はないとしても放って
おくべきではないであろう内容については指摘させていただきました。
また、その場で直せるようなことはすぐ対応してくれました。
↑フローリングの傷の補修をしています。
■床の傷、塗装の汚れ
僕は施主検査の時、目を皿のようにして隅々までチェックしました。
はっきり言って嫌な施主です。
納戸の扉上部のビス1本の打ち忘れを指摘したら、うちの妻は
「はぁ~っ。(@ ̄Д ̄@;)」
ってかなりの呆れ顔尊敬の眼差しでした。
それでも気付かない傷や汚れが、生活の中で必ず見つかります。
●フローリングの傷(1階 トイレ内)
【Before】
↓
【After】
すげー超きれい
どこに傷があったか、近くで見ても分からないほどです。
↓
すごいなー。フローリングの補修ってこんなにきれいになるわけ
あ、ちなみにこの傷↑は、IDEEの椅子が届いた時に
「わーい」って開けた時に椅子の脚がスルッと落ちて
僕が付けた傷です。てへっ(^▽^;)
その他、柱・梁・サッシ枠などの木部あらわし部分に付着した
白い塗料などは、「激落ちくん」を少し濡らしてこすれば
落ちるとのことでした。
【After】(Before写真を撮り忘れた。)
■仕上の割れ
これは、塗装仕上でもクロス仕上でも、
無印で建てたかどうかにも関係なく起きうる話です。
塗装の割れがあります。
「無印良品の家」の場合、廻り縁を使用していないので
それが見えやすいです。
これはすっきりしたデザインを優先した代償とも言えます。
ただ、同じことは建具周辺や壁と壁の間でも起きうるので、
必ずしも責めるべきことではないでしょう。
地震の際に、数mm(最大で数cm)単位で壁が動くのだから、
躯体(柱・梁など)と仕上(塗装やクロス、場合によっては
下地の石膏ボードも含める)の間や仕上材同士の継目で
割れることは良くあります。
一般建築においては、最初から隙間を開ける「目透かし貼り」
やジョイント材を使うケースもあります。
こちらの写真は、柱と窓の間で段差ができてしまっています。
ということは、おそらく石膏ボード自体が割れています。
現在はほとんど使用していない2階のフリースペースの
中なので、いつ割れたのか分かりません。
東日本大震災の時に割れた可能性もあります。
これについては補修はしてほしい内容ですが、
急ぎではないので次回以降に保留することにしました。
■三面鏡の止まり具合
唯一、妻から要望があったのがこちら、三面鏡。
すごく微妙な話なのですが、左の鏡のヒンジがやや柔らかく、
途中の止まってほしい角度で止まってくれないのです。
右側は、ピタッ!ピタッ!と止まってくれるのですが…。
三面鏡を使いたくてこれを選んだのだから、性能不十分だ!
と伝えました。
扉の根元にある調整ネジでは、扉の位置の調整しかできず、
止まり具合の調整はおそらくこの扉とヒンジごと交換が必要です。
対応してくれるかどうかの回答はまだです。
追って報告すると思います。
■もらい錆
木の家の標準仕様、ガルバリウム鋼板で建てた方は、
さぞかし錆びが心配だと思います。
基本的には、ガルバリウム鋼板自体が錆びることは
ほとんどありません。
しかし、鉄の粉など外的な要因で錆びることはありえます。
特に端部などは日頃からチェックしておきたいところ。
うちの場合、なぜだか分かりませんが浴室からの排気の
ベントキャップ直下にごくわずかなもらい錆がありました。
しかし初期のもらい錆は、ごく表面だけのもの。
簡単に取れるので全く心配はいりません。
「KURE5ー56」と「激落ちくん」でこの通り。
ガルバリウム鋼板で建てた方に知ってほしいこと。
・基本的には自ら錆びない。でも端部はやや弱点。
・海際は錆びやすい。潮風を侮るなかれ。
・もらい錆はありうる。でもごく初期なら、簡単に落とせる。
・この程度のメンテナンスの継続で長持ちするいい外壁材である。
僕の主観ですが、
全くメンテナンスをしないと20~30年、
ちゃんとメンテナンスをして30~50年
ぐらいはほとんど性能を落とさない素材だと思います。
それから、建物が建ってから電気屋さんでエアコンを買って業者に
取り付けてもらうときに注意してほしいことがあります。
それは、外壁に穴を開けた時にちゃんと拭いてもらうことです。
水切りの上に鉄の粉が残っていると、すぐに錆が発生します。
なお、今最も主流なのは窯業系サイディング。
コストパフォーマンスも良く種類も多く、決して悪い材料ではありません。
問題は「シーリング」。つなぎ目のゴムのような素材です。
シーリングは早くて5年、長くても10年で劣化(ひび割れ等)します。
窯業系サイディングの外壁は、シーリングから
劣化がスタートすることを知っておいた方が良いと思います。
■エフロレッセンス(白華 はっか)
ウッドデッキ廻りに発生しました。
名前を見るとかわいらしいのですが、美観を損ないます。
ネットで「白華」と検索すればすぐ出てきます。
専門的な説明はさておいて、要はコンクリートの表面から
浮き出た物質(卵の殻のようなもの)が固まったものです。
ウッドデッキ廻りの工事においては、工事の初期段階で
基礎コンクリートをまず打ちます。
(上の写真の、白い物質が垂れ始めているすぐ下まで)
これは構造体。それ自体は問題ありません。
その後、工事の後半に内装の工事もだいぶ進んだ段階で、
ウッドデッキ工事のためにもう一度コンクリートを打ちます。
(厚みが薄い場合はモルタル仕上の場合もあります。)
おそらく今回の問題は、この「ウッドデッキのためのコンクリート打ち」の
時の素材(セメント・水・砂・砂利)か環境条件(温度・湿度・風速など)
がよろしくなかったのだと思います。
低温時に起こりやすく、施工したのは去年の12月28~29日。真冬です。
そのつなぎ目部分が一体化せず、クラックが入ったようです。
構造的に問題はなくても美観上は大問題なので、
これはきっちり直してもらいます。
それについてはまた。
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こういう記事を書くのってあんまり気持ちの良いものではないですね。
でも、建てる段階から「ここではこういうことが起きるだろう」と
予想をつけることができるなら、対策の取りようもあると思います。
今回の記事は「無印良品の家」を決して非難しているわけではありません。
僕が見ている限り、はっきり言ってかなり“いい現場”だったと思います。
本部で設計し、無印良品の家を最も建て慣れた工務店で施工し、
優秀な工務担当者がいて、おまけに鬱陶しい施主までいて、
『それでもこういうことは起こる』
それを知ってもらい、参考になれば嬉しく思います。
メンテナンス系の話は、積極的に情報交換をしたいですね。