「無印良品の家」は、3種類あります。
『木の家』『窓の家』『朝の家』。
この3つの中で、
「『木の家』ってネーミングはどうなんだ?」
と思った人が2500万人ぐらいはいると思います。
今回は、若干マニアックな突っ込みと考察をします。
モデルハウス(熊谷店)の階段回りです。
■なぜ『木の家』か
いきなりなんですが、理由とか背景とかはよくわかりません
だって、ちょっと間違ったらログハウスと勘違いされますよね。
日本の戸建住宅のほとんどが木造住宅なんだから、『木の家』って…。
住○林業さんに怒られたりしないでしょうか。
■その割には…
木造住宅の意味ではなく、ログハウスでもない。
いざ内装を見てみると、大半が石膏ボード(に塗装仕上)です。
「木らしさ」があるのは、真壁工法による柱と、
梁の下面を見せる独特の納まりでしょうか。
フローリングは今時アピールポイントにはならないでしょう。
(ウッドデッキは外なので省略。オプションですし。)
我が家も『木の家』で建てて大満足していますし、
別に悪く言うつもりは全くないのですが、正直なところ『木の家』という
ネーミングについてはやや名前負けしている感があります。
友人の大工が最近建てた家の方が、
雰囲気はよっぽど「木の家っぽい」です。
冨野工務店HPより拝借。
(↑この写真は無印良品の家ではありません。)
■真壁の特徴
名前負けしているとはいえ、一番「木らしさ」があるのが真壁です。
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解説しよう
木造住宅の壁には、「真壁」と「大壁」の2種類の工法があります。
真壁(しんかべ)工法というのは、柱を見せる工法。
大壁(おおかべ)工法は、壁の表面に柱を見せない工法。
真壁のメリットは、
①木の雰囲気が味わえる。
②柱が露出しているので木の呼吸を妨げず、また異常を発見しやすい。
③大壁よりも室内がちょっぴり広くなる。(石膏ボード1枚分程度。)
逆に大壁のメリットは、
①真っ平らな広い面を確保でき、家具などを並べやすい。
②柱の養生は不要で、施工がしやすい。
③壁内の空気層が広く確保できる。
(外張り断熱は影響ないが、充填断熱だと重要。)
といったところです。
メリットは、裏を返せば互いのデメリットでもあります。
以上、簡単な解説でした。
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『木の家』では真壁で建てるのが一般的(標準仕様)で、
おそらくどのモデルハウスも真壁で造っていると思います。
個人的には好きです、真壁
構造体が見えている安心感というか、せっかく木なんだから
隠したらもったいないというのもあります。
昔の日本の住宅は全て真壁なので、どこか懐かしさを覚えるせい
なのかもしれません。
■真壁じゃないとダメ?
木の家の他の部分は気に入っているんだけど、壁はつるっとしてる
方がいい、という方もいらっしゃると思います。
結論としては、大壁仕様も可能なんです。
「木の家なんだから真壁で建てなさい!」
なんてケチなことは言われません。
ちなみに『窓の家』『朝の家』は大壁が標準だと思うのですが、
真壁で造りたいって言ったら可能なんでしょうか?
事例がないからやっぱ無理かなぁ。
知っている方がいたら教えてください。
■本当の理由
真壁じゃなくてもいい本当の理由は、防火性能だと推測します。
法律の解説はここではしません。
難しいというかややこしいというか、簡単な説明ができないんです。
耐火・準耐火・防火・準防火・不燃・準不燃などの似たような言葉が
たくさんあるし、延焼のおそれのある部分とか法22条地域とか…。
こちらのサイトがわかりやすいです!↓(あ~ぁ、丸投げだ)
http://www.house-support.net/seinou/bouka.htm
我が家は、準防火地域に建つ木造2階建。
狭い敷地なので外壁のほとんどが延焼ラインにかかっていて、
外壁の仕様は“防火構造”です。
その場合、真壁の納まりは可能なんです。
アイジー工業さんという会社がちゃんと認定を取っています。
ところが、同じ準防火地域でも木造3階建の場合は、
“準耐火建築物”にしなければなりません。
そうなると、真壁の納まりは不可なんです。
■モデルハウスブログ
昨日更新されたMUJI新宿 家センターの記事(2011.08.25付)の、
入居者宅見学会を開催したO様邸についての文中に、
こんな記載があります。
都内の3階建ての「木の家」です。
準防火地域なので、法的に柱や梁を見せる造りができません。
真っ白な壁の内装です。
つまり、もし2階建で建てていたら我が家と同じ条件であり、
真壁の納まりにも可能だったと思います。
逆にうちも3階建で建てていたら、真壁にはできなかった、
といことになります。
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■おまけ
こちらのO様邸に、我が家は(いい意味で)たくさん影響を受けました。
この家に行った後で我が家に来たら、
何ヵ所か似てる場所があることに気付きます
見学会は、タイミングによって視点が変わって面白いですね。
気楽に行く方もいるかもしれませんが、家作り中の方の場合は、
「何か収穫を得よう、参考にしよう」と、好奇心メラメラですから、
見学会の影響が自分の家作りに現れることがよくあると思います。
自分の家が着工後だともう大きな仕様変更はできないので、そうすると
カーテン・ブラインドやインテリア、家具・家電などに目がいきます。
見学会にはたくさん行って、いろんなことを吸収しましょう
写真は原則禁止ですが、「○○邸のアレにしたい」という要望を
自分の家作りの担当者に伝えられるようにしておくといいですね。