『スケジュール①<我が家>』(2011.07.17付)の記事では、
我が家の場合の家作りの全体スケジュールを紹介しました。
そして、家作りの工程を左右する要素はたくさんあり、
条件次第で変わりますよ、という注釈を付けました。
前回は備忘録的な意味合いもあったので、日付・出来事の羅列をしましたが、
今回はもう少しスケジュールに関しての説明を加えていきたいと思います。
大いに僕の主観が含まれていますので、その辺はご了承ください。
■土地探し(数ヵ月~数年)
【一般的には?】
土地探し要した期間は、非常にばらつきが大きいので、
あまり「一般的」という話をしても意味がありません。
しいて言うなら、「平均したら土地探しに1年と言われる」ということぐらい。
それすらあやふやな情報です。
親や親戚の土地に建てる場合は土地探しそのものが不要だし、
逆に探し始めてから5年以上かかったという人もいます。
我が家の場合は、OKとNGを繰り返しましたが、
実質1~2ヵ月で済んでしまいました。
新築前に住んでいたマンションからわずか2ブロック、
200mしか離れていない場所に運よく建てることができたのです。
運命というか神の思し召しというか、奇跡的にいい場所が見つかりました。
広すぎると予算が足りない、狭すぎると建てたい建物が建たない。
ちょうどその間の絶妙な条件の土地でした。
【誰が探すか?】
我が家を含めて「無印良品の家」を建てた方々は、
自分で土地を手配しているはずです。
親の土地なり、自分で探すなりしています。
「素人だから土地探しなんて無理~!」という方もいらっしゃるでしょう。
無印の場合はそのための無料講座を実施しており、
分かりやすく説明してくれます。
方針はあくまで、
『土地の探し方は教えます。でも土地探しはご自分で行ってください』
というスタンスです。
ハウスメーカー(以下HM)によっては、不動産部とのつながりあったり、
土地探しを営業担当者が行うケースもあるようです。
それを期待している方にとっては、無印の態度が冷たく感じるかも
しれませんが、僕は正しい判断だと思うし、
HMの営業担当者の方が「土地探しまですべきではない」と思います。
だって、住むのは自分です。
営業マンでも不動産屋でもありません。
万が一悪い土地を選んだからといって、営業担当者や不動産屋に
その責任を取ってもらうことは不可能だし、結局のところ自分で
その土地に対して主体的に向き合っていくしかないわけです。
ちなみに設計事務所で建ててもらう場合、
「土地が決まってから話を持ってきてくれ」というケースが
一般的だと思います。
土地の探し方を懇切丁寧に無料で行ってくれるところはまずないでしょう。
そういう意味では、土地探しについての無印の姿勢は、
HMと設計事務所の中間的な「土地探しアドバイザー」とも言えます。
また、土地探しの中で「候補の土地」が見つかった場合は、HMでも
設計事務所でも、計画案の作成は無料でささっと(数日で)
行ってくれると思います。
「無印良品の家」の場合ももちろんやってくれます。
おそらく、「一週間後」にちゃんとした体裁の物を作ってくれるでしょう。
■家作り相談~契約(約2ヵ月)
1ヵ月の人も半年の人もいるでしょうが、概ね2ヵ月程度の方が多いと思います。
ここまでは、基本的には「営業担当者」しか出てきません。
この段階では、複数のHMにプランを検討させ、仕様・価格を含めて
比較する方もいるでしょう。
裏を返せば、まだ「その会社で建ててもらう」ことが確定しておらず、
HM側もあまり労力をかけられないのです。
とはいえ、契約するためにはある程度の金額の算出が必要で、
そのためにはある程度のプランの確定も必要です。
契約後もプランの変更は可能ですが、契約時の金額に対して
増減いくら、という形になります。
悪質なHMの場合、契約した途端に強気に出て、契約後の変更が
やけに高額になるケースがあるようです。
重要な要望が契約段階で盛り込まれているかどうかの確認が重要です。
■設計~確認申請(約2ヵ月)
契約が終わると、細かい内容の打合せ・検討に入ります。
ここから、「営業担当者」に加えて「設計担当者」も同席するのが一般的でしょう。
営業担当者はお金とスケジュールの管理、設計担当者は建築・構造・設備等の
納まりや仕様の確認をし、施主の要望に応えるための技術的な解決を図ります。
ここで、
「営業は無料で○○できるっていったのに!」
「□□も契約金額に含まれてるって言ったのに!」
というようなことが起きると、不信感が募りますよね。
そういう意味では、営業担当者の存在はここでも重要です。
できればある程度技術的なことまでわかっている営業担当者でないと、
初期の計画案と詳細設計時のズレが大きくなり、
予想外の出費をすることになります。
【前半の1ヵ月】 構造計算・確認申請に向けて
詳細な打合せを重ねながら設計を進めて図面を作成していく時期です。
おおよそ隔週程度での打合せが進み、毎回新たな図面が出てきます。
その度に、ちゃんと前回の打合せ事項が更新され、
盛り込まれているかを確認することが重要です。
この時期は、様々な決定を急かされます。
「次の打合せまでに決めてきてください」と言われたことを保留すると、
そのまま工程が後ろにずれていきます。
決定していく順番は、構造に影響するものが最優先です。
間取り : 言いかえれば「全ての壁の位置」。階段や吹抜も重要。
外周り : 言いかえれば「外壁と、外部に接する建具の形状や位置」。
①②は、構造への影響が大きいので、できるだけ早く決定したい事項です。
後で「やっぱりこうしたい」と変更を申し入れる場合は、
お金が余計にかかったり、工期が延びたりする可能性があります。
この段階で、SE構法の場合は構造検討に入ります。
最初はグリッドチェックという簡易なチェックで、
本当の詳細な構造計算は確認申請の段階で行うと思います。
少なくとも「無印良品の家」では、①②の変更がこの先難しいことに
対して、きっちり説明していると思います。
引き続き。
内壁 : 壁か建具か、引き戸か開き戸かなど、平面図に影響するもの。
衛生・空調設備 : 主に水廻りの位置。(細かな仕様は後でも良い。)
③④は、構造以外の、確認申請に必要な事項の確認。
この後で変更をする場合は、内容によっては確認申請に影響したり
しなかったり、ケースバイケースです。
④のポイントは、水がどこから来てどこへ流すのか、という点と、
換気扇をどこにいくつ付けるのかという点。(多少は変更可能。)
ただ、1つの変更で複数の図面を直さなくてはならない可能性があり、
設計者としては手間のかかる変更ですので、あまりしてほしくないでしょう。
この辺りまでを順に決めていけば、確認申請は出せます。
確認申請を出すと、構造に影響する部分は、
原則として変更できないと思ってください。
一般的な木造住宅の壁量計算と違って、構造計算というのは、
構造計算プログラムを用いた高度な計算を行います。
構造計算ををやり直す(申請を出し直すor変更申請を出す)ためには、
数十万円の負担と、最低1~2ヵ月の工期延長は覚悟した方が良いでしょう。
【後半の1ヵ月】 着工に向けて
ここからは確認申請にはほとんど影響がない事項。
電気設備 : スイッチ・コンセント・照明など。
各材料の色・素材など。
⑤はまだ決定の猶予はありますが、早いに越したことはないです。
少なくとも、着工の図面には、スイッチ・コンセント・照明などが
しっかりと記載された図面にするべきでしょう。
これについては、『スイッチ・コンセント①(概要)』(2011.07.21付)の
記事の後半、【打合せのタイミング】というタイトルのところに、
<理由①>⇒ミスを減らす
<理由②>⇒間取りへの影響を減らす
<理由③>⇒竣工図の間違いを減らす
と書きました。詳細は今回は省略します。
⑥についてもまだ猶予はあるのですが、
気を付けなければならないのは素材の重さ。
壁を漆喰やタイル張りにしたい、という変更は、構造計算への影響が
出てくるのでおそらく難しいと思います。
また、建物の外の話ですが、外構も基本的には確認申請には影響しません。
水道メーターの位置や地盤の高さなど、影響する内容も中にはあります。
確認申請を出して約2週間で確認済証が交付されます。
長期優良住宅の申請をしている場合は、もう1週間程度かかるかもしれません。
■着工~引渡し(約4ヵ月)
確認済証が交付されれば、着工できます。
工期は3~4ヵ月。
天候やトラブルに備えて、通常は4ヵ月程度確保するでしょう。
なお、鉄骨プレハブ系の建物は2ヵ月の工期で完成するそうです。
■まとめ
以上の工程をぎゅっとまとめて書くと、こうなります。
土地探し前の、予算検討期間等は省きます。
【一般的な家作りのスケジュール】
○土地探し(数ヵ月~数年)
○家作り相談~契約(約2ヵ月)
○設計~確認申請(約2ヵ月)
○着工~引渡し(約4ヵ月)
*********************************************************
我が家の場合は、建物が小さいのと、スタッフの努力と、
僕が無印さんを急かしたことにより、短期間で済みました。
平日でもメールで図面をPDFで送ってもらったり、
チェックしてまた送り返したりしていましたから、
比較的スムーズに進んだのだと思います。
【我が家の家作りのスケジュール】
○土地探し(約2ヵ月)
○家作り相談~契約(約0.5ヵ月)
○設計~確認申請(約2ヵ月)
○着工~引渡し(約3.5ヵ月)
(土地探しから計8ヵ月)
ちなみに、契約時の予定と実際の日程には
これだけのズレがありました。↓
<契約時の予定> <実際の日程>
契約日 2010年08月16日 = 2010年08月16日
着工予定 2010年11月15日 → 着工日 2010年10月18日(-1ヵ月)
上棟予定 2010年12月15日 → 上棟日 2010年11月20日(-1ヵ月)
木完予定 2011年02月05日 → 木完日 2010年12月25日(-1.5ヵ月)
完成予定 2011年03月08日 → 完成日 2011年01月22日(-1.5ヵ月)
引渡予定 2011年03月15日 → 引渡日 2011年01月29日(-1.5ヵ月)
契約日~引渡 : 7ヵ月(予定) → 5.5ヵ月(実際)
完成日は、ここでは施主確認検査の日を指しています。
建物はその日に完成しているけども、手直しがあるので
引渡しまで1週間あります。
何が言いたいかというと…
設計・施工する会社は、十分な余裕を見込んでいる、ということです。
天候不順や施工トラブルが多少起きても、それでも元の工期の中で
収まるような余裕を見た工程を提示します。
我が家の場合、契約~着工(つまり設計~確認申請まで)を
3ヵ月見込んでいました。
そこで1ヵ月縮まり、工事が順調で半月、合計1.5ヵ月縮まりました。
なお、建物の完了検査は2011年01月11日に行っています。
フラット35の手続きの関係で、そこから引渡まで半月かかっています。
実質的な工期は3ヵ月でした。