彩side









あの日から一度も会うことはなく
月日は流れ、気づけば六年も経っていた。









そして、私に転機が訪れた六年目の今日。




ポッケに入れたままの携帯が静かに鳴り響く

滅多に鳴らない私の携帯は、
ママからの着信を知らせていた。


「もしもし」


「彩?元気にしてる?
なぁ、来週の同窓会どうするん?」



すっかり忘れていたが、来週は中学の頃
一緒だったメンバーとの同窓会。

だけど、行くはずもなく



「行かへ『美優紀ちゃん、来るんやって。』


ママの言葉に驚いた。


「美優紀、記憶戻ったん?」


半信半疑で尋ねると、


「ううん、まだみたい。
でも何かきっかけになるんじゃないかって
美優紀ちゃんのママが。」





なんでがっかりしてるんやろ。
なんで少し期待してしまったんやろ。



もう美優紀の記憶の中には
私なんかいないのに。


だけど、そう簡単に私の記憶からは、
美優紀の存在は消えてくれなかった。









街の角をいくつも立ち止まり
探してきた あいつの姿を、
もう一度この目で見たい。








そして、会わないと決めたあの日から
六年経った今日、私の心に終止符を打った。








前に進まなあかん。