美優紀side 








慌てて家を出た彩ちゃんが
その日戻ってくることはなかった。








次の日。






”今から行くな”



携帯の画面には
彩ちゃんからの通知が一件。










数十分後、家に来た彩ちゃんは



「ごめんな昨日、戻ってこれなくて。」



申し訳なさそうに謝る。



「何かあったん?」



そう聞くと、



「会ってきてん、彼に」



「え?」






彩ちゃんの言葉に驚いた。







「どこかの女と一緒にいたわ。

なぁ美優紀?あいつやないとだめなん?」






突然の質問に何も答えられずにいた。

そして、




「…知ってたよ
私以外の女の人と一緒にいること。
私がはっきりしないからダメやってん。



でもな、これでもう諦められるから。」




溢れる涙を抑えたつもりでいたが、
また彩ちゃんを心配させてしまったみたいで



「私があいつの代わりになったる。
産むって決めたんやろ?
なら私も力になりたい。」



まっすぐな瞳でそう言うから、



「なぁなんで?どうしていつも
私の味方でいてくれるん?」


思わずそう聞くと


「理由なんてあらへんよ。」


それだけ答え、私の目を見る彩ちゃん。

すると、



「美優紀。次はお母さんに伝える番や
ちゃんと自分の気持ち伝えや?」



「うん。」










そう言ってママの帰りを待った。