労働者派遣法改正案を閣議決定 -・- 規制強化へ
一昨年の悲惨な派遣労働者の大量雇い止めなどの悲惨な扱いを受けて見直しが進められ
てきた労働者派遣法の改正案が3月19日、閣議決定されました。
改正案は、登録型派遣を原則禁止にするなど規制強化の方向ですが、厚生労働省案には
民主党政権としてはあり得ない、自民党の派遣法にもなかった規制緩和にもつながる「事前
面接の解禁」が盛り込まれていたという信じられない驚くべき事実から、与党内の社民、国民
新党が当然のことながら強く反発し、これは最終的に削除されました。
改正案は今国会での成立を目指すとのことです。
改正案の細部としては、通訳など専門業務を除き、
・仕事がある期間に合わせ雇用契約を結ぶ登録型派遣、
・日雇い派遣など2カ月以下の雇用契約の派遣
を原則禁止としました。
また、製造業務派遣も原則禁止とし、例外として長期間の契約が見込まれる常用型派遣の
存続を許しました。これら登録型、製造業務ともに、より安定した常用型派遣への誘導を目指
しているとのことです。
新しい項目としては、禁止業務への派遣や偽装請負などの違法派遣があった場合、新たに
派遣先が派遣労働者に労働契約を申し込んでいたものと見なす「みなし雇用制度」を導入しま
した。つまり違法派遣があった場合、働いている会社で直接雇用されているとみなすとのこと。
その他にも、派遣先の社員と派遣社員の均衡を考えた待遇とする規定も盛り込まれました。
登録型派遣と製造業務への派遣禁止の施行は公布から3年以内とし、登録型の一部はさらに
2年の猶予を設け、最大5年の施行猶予が可能になっているところが不満ではあります。
一方、旧野党3党案にあった、派遣先の団体交渉応諾義務や性別による差別の禁止などの
派遣先責任の強化は盛り込まれませんでした。この改正案を巡っては、厚労省案に事前面接
の解禁があったことから、派遣問題に取り組む労組や弁護士などから「雇用責任を負わない派
遣先に実質的に採用行為を許すことで、派遣制度の根幹を揺るがす」と強い反発があり、社民
党などもこの「事前面接解禁」を改正案に含むことに当然のことながら強く反発・抵抗しました。
また、常用型派遣についても「雇用期間の規定がなく抜け穴になる」との指摘も多くあり、国
会審議での論点になるでしょう。
長妻昭厚労相は「これですべて(派遣問題が解決する)とは言わないが、労使双方の合意で
実効性を確保したかった。まず第一歩を踏み出し、施行後実態調査をして不足や問題点を勘案
していく」と話しました。
まぁ 確かに、一夜にして理想は実現できないというのも理解出来ないことはないですが・・・
世の中から尊敬されるべき経団連会長の企業が、偽装請負の違法契約を結んでいて顰蹙を
買っても、経団連会長交代することもなく平然としている我が国の経営者の常識からすると、不
法雇用はこの先も頻繁に生ずるのは間違いないと思われますが、いきなりすべて実現させるの
は現実的ではないと理解すべきかもしれません。
民主党も野党時代には派遣法の非人間性を声高に叫びながら、いざ政権を奪取すると、言うほ
どの派遣法は成立させられない情け無さを感じますが、そこは自民党政権時代よりは一歩前進
と前向きにとらえるべきかもしれません。
人がモノ扱いされ繁栄する世の中・企業など不要です!
日本国憲法にもあるように、人が人として尊重されてこその繁栄です。
弱肉強食の新自由主義の色濃い自民党時代の「人でなし派遣法」を駆逐し、不足感はあります
が、人間らしい世の中実現への第一歩であるこの法案が閣議決定されたことに、歓迎の意を表
します。
まずは一歩前進と言えるでしょう。
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