生きている豚の1/4の胃袋を切り取り作成した大きな切り取り穴を薄いスポンジ状の人工
シートで塞いで胃袋を元通りに復元する実験に成功したとのことです。
この画期的な実験に成功したのは、埼玉医大の消化器外科学の富沢光男教授らです。
胃に穴を開けても、シートが土台になり、周囲の細胞がスポンジの細かい穴に入り込み胃壁
が再生するという画期的なものです。
シートはその後解けて無くなります。(抜糸などもしなくても良いわけですね)
すでに血管の再生などに成功し・開発しているが、胃でこれほど大きな部分(穴)の再生は
初めてとのことです。人間に応用できれば胃がんの手術で切り取った部分の胃壁を再生させ、
患者の手術快復後の負担を大幅に改善することが期待されています。
再生医療は、あの有名な新型万能細胞のIPS細胞などを使った方法などが注目されていま
すが、目的とする細胞を作るだけでは実用化むずかしく、立体的な構造にして元のように機能
させることが大きな最終的課題になっています。
宮沢教授らは、奈良県医大の筏義人教授による開発済みの人工シートを利用したそうです。
このシートは、取り付けた生体自体に吸収され、分解してしまう優れもので、厚さは1ミリ程度。
豚を使った今回の実験では、胃からタテヨコ各6センチの胃壁を切り取り、そこにこの人工シート
を3枚重ねて縫い付けたとのことです。
驚くべきは、この豚は食べる量が減ることなく人工シートには周囲からじょじょに細胞が増殖
し集まったとのことです。
途中には潰瘍が出来たけれど、最終的には消え失せ10週間後、この貼り付けた人工シート
も完全に溶けて胃袋は元通りの形状に再生されたとのことです。
詳細に調査し、再生部分に切り取る以前のような粘膜や筋肉などの胃の層構造が正常な部分
と同じように形成されているのも確認されたようで完璧に近い実験結果ですね。
「このシートは人間に対する毒性無しと確認済みで、臨床実験が出来れば、IPS細胞などより
も実用化は近い。大腸・十二指腸・食道などでも実験で良い結果が出つつある」と、宮沢教授は
実験に自信を持って述べています。
胃袋や食道など何らかの疾患で部分的に切り取っても、この人工シートを使えば、再度修復
再生させることが出来るなんて素晴らしい成果ですよね。
胃潰瘍や胃がんなどで胃を何割か削除しても、削除した部分を以前と同様に再生することが出
来て、後の生活に支障が少なくなる夢のシートで、早急の実用化を期待しています。
私的には、ノーベル賞的な実験成果ですね。^^
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