渋谷駅「全部造り変え」で超高層に
街の発展とともに拡張を繰り返してきた渋谷駅。大ターミナルに育ったものの、「継ぎはぎ」感が否めない。乗り換えなどの経路が分かりにくく、熟知していないと迷ってしまう。バリアフリーの充実や耐震性の強化も求められている。
こうした状況を改善するため、駅地上部の施設をすべて造り変える。既に東京メトロ銀座線がホーム移設工事に入った。東急東横線は渋谷駅付近で進めている地下化が今年度中に完成する。東京メトロ副都心線が先行して利用しているホームに乗り入れ、相互直通運転を開始。現・東横線渋谷駅は東急百貨店東横店とともに2013年4月以降、解体に着手する。跡地を使ってJR線のホームを移設し、超高層の駅ビルも建てる。完成後の姿を解説する。
渋谷駅が誕生したのは1885年のことだ。上野から熊谷、前橋と北に路線を延ばしていた日本鉄道が、途中の赤羽から品川に向けて、東京の市街地を避ける形で路線を建設。その際に設けたのが渋谷駅だ。当時の渋谷は村で、開業日に利用者はいなかったと伝えられている。
127年経った現在の渋谷駅には8路線が集結。相互直通を除くと、1日当たり約215万人の利用者がいる(2010年)。関東の駅では新宿、池袋に次ぐ規模だ。
ところが、駅は「継ぎはぎ」状に増築を繰り返してきたことから、乗り換え経路が狭く、分かりにくい。駅ホームから渋谷の街への到達もスムーズではなく、使いづらい状態に陥っている。こうした点を解消するために、地上部の施設をほぼすべて造り変える。
駅や駅ビルの造り変えは、東京急行電鉄(東急電鉄)、東日本旅客鉄道(JR東日本)、東京地下鉄(東京メトロ)などの民間事業者が実施する。渋谷区などが実施する駅前広場整備と合わせ、事業完了は2026年度を予定している。具体的な内容はまだ判明していないものの、公開されている都市計画などから概要が読み取れる。