建築、土木、機械、服飾など様々業界でなくてはならないツールになっているCAD。
でもCADの仕事は大変、辛いと聞くけど実態はどうなの?
そこで、建築・土木業界に絞り現役4人にその大変さと対処方法を聞いてみました。
【建築CADオペレーター向け無料メルマガ発行のご連絡】
「建築CADオペレーター」として必要な
スキルや資格、スキルアップの方法、副業や転職での年収アップの方法など、
役立つ情報を全12回でお届けします。
以下から1秒で登録できますので、この機会にご登録頂けますと幸いです。
建設機械メーカー生産技術でのCADオペレーター業務(正社員)
私は建設機械メーカーに入社し生産技術の業務を正社員として行っている29歳(男)です。
主な業務は2DCAD(iCAD MX)・3DCAD(CATIA)を使用して生産ラインのレイアウト検討、製品設計、生産ラインの治具図面の設計検討を行っております。
生産技術での業務だけでなく、毎年行われる新入社員研修やグループ会社向けの技術講習のCAD講師も担当しています。
単純作業でモチベーション低下
2D・3DCADを使用して生産ラインのレイアウト検討、製品設計、生産ラインの治具図面作成をしておりますが、ここ最近では生産ラインの2Dデータから3Dデータ化を求められてきており、生産ラインの設備も3D化するといった業務がのしかかってきております。
3Dデータ化の目的は設備同士の干渉チェックになります。
- 2Dの図面すらないものもある
- 3Dモデル作成のために現物設備を細かく測定
- 分解して図面を作成する場合もある
上記は設備の3Dデータ化で大変なところです。
設備は、設備メーカーが設計したものがほとんどであり、中には2Dの図面すらないものもあります。
その場合は、現物設備の寸法を地道に、細かく測りに行ったり、構造を重視した3D化の場合には、分解して図面に起こすこともあります。
以上のことから2Dから3D化への対応は非常に時間のかかる業務であり、先が見えずモチベーションが上がらずなかなか精神的に厳しい状況であります。
人によっては若干異なる設備を図面化しており、ほぼ同じ作業で飽きてきている人が増えてきておりモチベーションを維持させるのが非常に大変です。
モチベーション低下に対する対処方法
問題であるモチベーション低下については、同じ作業を続けさせないことを重視して業務内容を少しでも変えるようにしております。
主な対処方法は以下です。
- 派遣のCADオペレーターの活用
- 正社員はコア業務にシフト
- 設備メーカーに3Dモデル作成を委託
正社員と派遣社員の業務内容を分け、同じような設備図面に関する業務は派遣社員に行ってもらい、モチベーションを落としては困る正社員に関しては、構造が複雑で、かつ3D化することによる会社への影響度が高い業務を主に行ってもらい、モチベーションを落とさず効率よく業務を遂行できるように対処しております。
また、メーカーのみ持つ図面に関しては、重要度が高い設備に関しては、機密保持契約を結び、メーカー側に費用を払い2Dから3D化を委託し可能な限りこちら側の負担をお金で解決するように対処をしております。
建築設計事務所でのCADオペレーターの仕事内容(正社員)
私は建築設計事務所で正社員として働いている24歳(女)です。
主に意匠設計と構造設計の図面を照らし合わせ、躯体図や平面図、断面図や詳細図まで各種工事に使用する施工図面を2DCAD(AutoCADやjwCAD)やBIM(アーキキャドやRevit)、統合ソフトなどを使用し作図しています。
浄水場や水処理施設等の配管図をAutoCADを用いて設計、作図したりもしています。
他人が作ったBIMモデルが分かりづらい
- 他人の作ったBIMモデルは作り方の把握に時間がかかる
- 結果、BIMソフトは2Dに比べデータ作成に時間がかかる
現在大手ゼネコンではBIMソフトとしてAutodesk社の「Revit」が主流です。
Revitが人気である理由は、Autodesk社の製品と互換性があるので、AutoCADを使っていた企業ならインターフェースも似ているので取り入れやすいという所と、リボンが視覚的に分かりやすい所、カスタムが無限と言ってもいいほど、拡張性が高い点が挙げられます。
しかし、2DCADであれば10分で終わるような図面修正も、Revitになると関連する全てを把握しモデル修正しなければいけないので2倍、3倍も時間がかかってしまいます。
したがってRevitだと3Dモデルが完成するまでに時間を要します。
その理由としてRevitでの3Dデータ作成方法は人によってバラバラなので他人が作った3Dモデルだと作成方法の理解に時間がかかるためです。
もちろん、Revit使用側がまだまだ使いこなせていない部分もあるとは思いますが。
因みにBIMソフトは価格が高いので、未だに中小企業では取り入れたくても取り入れられない企業が多いのも事実です。
他人のBIMモデルを分かりやすくする方法
Revitで作ったBIMモデルは、用途によって最適な画面構成や機能、互換ソフト、出力などの設定が違います。
- 柱の入力は場所単位か、階によって切り分けるか
- 1階の梁の入力はB1FL(地下1階)からなのか1FL(1階)からの追いか
- 壁を構成する要素が複数ある場合、複合の壁種の作り方はどうするか?
建築で例えると上記のような細かいルールがとにかく決めづらいので、人によってBIMモデルの完成度に差が出てしまいます。
- BIMモデル作成のルール化
- ルールをマニュアル化
- これによって誰でも修正しやすいBIMモデルを作成
人によるBIMモデルの完成度のバラツキに対処するには、建物を構成する地盤面から躯体、2次部材、内装の細かい部分まで、BIMモデルへの入力ルールの細分化や、マニュアルを制定することによって個々の能力に差をつけず、誰がBIMモデルを引き継いでも「分からないことが無い」データを作ることが必要です。
それがBIMデータの作成、修正時間の短縮になり、データを用いた運用、数量積算、管理まで一元化することに繋がると思います。
デジタライゼーション(データのデジタル化)をしっかりやることで、理想のデジタライゼーション(プロセスのデジタル化)につながります。
建築事務所でのCADオペレーター業務(パート)
私は、建築事務所でパートタイムとして働いている41歳(女)です。
建築系専門学校を卒業後、土木系の会社でエクステリアのCADオペレーターとして住宅などのエクステリアのプラン図、パース作成等をしていました。
その後、転職して建築事務所で作図補助としてパースと住宅のプラン図、建築図面の変更等の業務。
出産を機に退職し、現在は別の建築事務所でパートタイムのCADオペレーターとして建築図面の部分的な変更や、プラン図の作成をしております。
目の疲れやパートならではの問題
- 目が疲れる
- 営業と設計の連携不足
- 深夜残業もある
- 子育てに適した1日4時間勤務のパート案件が見つかりにくい
図面を書き上げるのにまとまった時間で集中して行うので、気づくと休憩を逃したり、残業になっている事があります。
画面上で拡大、縮小を繰り返すので目が異常に疲れます。
一部が変わると関連図面の全てが変わるので最終決定してから書きたいのですが、工期があるとそうはいかない事が多いです。
営業と設計の連携がとれていないと行き違い、やり直しが発生し、二度手間、三度手間になる事もあります。
夕方に来たプランをその日のうちにパースまで書き上げたので深夜になる事が度々ありました。
パートで働こうと思うと勤務時間が最低でも6時間からの求人が多く、幼児をもつ母親が働けるのは4時間程度なのですが、4時間程度の求人はほとんどありません。
パートで入社できても短時間で作業するとなると出来るボリュームが限られてしまうので、思う様には働けないジレンマがあります。
問題についての対処方法
集中しすぎてしまうので、休憩や退勤時間はアラームをかけて意図的に集中を切る様にしています。
目が異常に疲れるので昔は休憩中は寝てました。
今は強めのブルーライトカットのメガネがあるのでかなり楽に作業できます。
営業と設計の行き違いは確認を細かくして貰う事である程度防げます。
工期も設計スケジュールを余裕があるように組めば少しは良くなる事もある、、、かもしれません。
図面変更に連動しているソフトであれば、1箇所変えれば他も変わると思うので、それで済むのではないかと思います。
パートに関しては、やはり仕方ない事もあると思います。
ですが分業制や裁量性にしていただければ勤務時間も自由になるので、求人も増やせると思いますし、働く方も割り切ってやっていけるのではないかと思います。
土木設計・建設コンサルタントでのCADオペレーター
土木設計(建設コンサルタント)で行政からの委託業務として公園、造成系の実施設計図面を作成しています。
測量図をベースにCADで計画線を書いていき、工事費を算定します。
使用するソフトはAutoCADやv-nas が多いです。
今は2D図面を作成することが多いですが、今後は3D関係の仕事が増えてくるようです。
大きな設計変更への対応が大変
- 大規模設計変更への対応が大変
- ソフトのバージョンアップで機能を覚えるのが大変
ソフトだと簡単に図面が書けてしまう分、設計変更も簡単にされてしまうのが大変です。
図面を大きく修正する場合、図面を基に算出する数量表や設計書を合わせて修正する必要があるため、図面に起こす前の設計条件を漏らさず確定させておく必要があります。
作業効率を上げるためのショートカット機能を多用します。
エクセルでいうマクロのようなものです。これを使えば手動で苦労していた作業が一瞬で完了したりします。
ですが、ソフトがバージョンアップするたび、これらのショートカット機能の付加されたもの、削除されたものを確認する必要が出たり、たまに機能が動かなくなっていたりもします。
CAD業務の問題についての対処方法
- 図面作成前に設計条件を確定させる
- 設計条件のチェックリストを作成し抜け漏れを確認
- 図面作成の分業体制もつくる
- 最新技術への自己研鑽を欠かさないここにテキストを入力
設計変更を出来るだけ減らすために、図面に起こす前に設計条件をある程度確定させることを、心がけています。
設計条件は各種法規や基準書から決まる事項、現場の状況や顧客の要求事項から成るため、一つずつ確実に把握し、整理しておきます。
一覧にまとめておくと漏れなくチェックできるため、条件整理に時間をかけます。
図面作成は分担していろんな人が関わる作業であるので、進捗、状況、情報は各員が自由に確認できるような体制づくりも行います。
顧客から求められる内容も年々進化するため、従来の技術の習得は当然ですが、納品可能な3DやBIM/CIM、DXに対応したCADソフトの情報収集やセミナーへの参加、体験なども積極的に行います。
建築CADオペレーターの年収アップ方法
建築CADオペレーターの仕事の実態についてご紹介してきましたが、ここでは年収アップの方法についてご紹介します。
それはCADという専門スキルを活かして建築に特化した転職をするか、副業をするということです。
1つずつ見ていきましょう。
建築CADオペレーターに特化した転職エージェントの活用
建築CADオペレーターの転職を成功させるには以下のコツがあります。
- 建築に特化した転職エージェントを活用する
- 複数の転職エージェンに登録し、自分に合った企業に出会う確率を上げる
日本にはたくさんの転職エージェントはありますが、以下にまとめてあるような建築に特化した転職エージェントに登録し、色々と相談してみましょう。
以下に建築に特化した転職エージェント
上記の転職エージェンにまずは登録だけでもしてそのタイミングを逃さないようにしましょう。
転職はタイミングが大事です。
良い会社が求人を出しているタイミングに合うと転職でき、年収アップにもつながります。
転職エージェントへの登録は無料です。
転職関係のCADの副業をする
今はクラウドソーシングサービスがあり、そこでCADの副業案件がたくさんあります。
中でも建築CADの仕事は、機械や電気と比べて多いのでチャンスでしょう。
クラウドソーシングは色々とありますが以下がおすすめです。
このようなクラウドソーシングに複数登録し、まずは月5万円の副業収入を目指してみましょう。
登録は無料ですし、複数登録することで副業案件に出会える確率が増えますよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
CADの仕事の大変なところをまとめますと以下の内容です。
- 単純作業に対するモチベーション低下
- 他人が作成したBIMモデル修正に時間がかかる
- 目が疲れる
- 大規模設計変更時に色んな図面を修正する必要がある
- 幼児子育て中に短時間のパート案件が見つかりづらい
今回は建築界のCADの仕事で大変なところをご紹介しましたが、中にはどの業界にも当てはまる点もあるかもしれません。
その他の業界での大変なところは以下の記事も参考にしていただければと思います。