蓄膿症と聞くと鼻に係わる疾患をイメージする方もいるかも知れませんが、ワンちゃんネコちゃんでは子宮腔内に膿性液が貯留する「子宮」蓄膿症という病気が存在します。

中高齢の避妊手術を受けていない女の子のワンちゃんに多い病気ですが、もちろんネコちゃんでもこの病気にかかります。

 

発症平均年齢は10歳前後と言われ、発情出血が起こってから2か月前後で発症することが多いそうです。

その理由として、この病気には黄体ホルモンが関わっていることが考えられています。

発情のたびに子宮内膜がホルモンにより刺激され肥厚し、そこに細菌が感染することで発症すると言われています。

 

ワンちゃんでは「多飲多尿」、「食欲がない」、「元気がない」、「嘔吐」、「お腹が張っている」、「陰部から織物が出ている」といった様子が認められることが多い印象を受けます。

ただし「陰部からの織物」は見られないこともあり、その場合は閉塞性子宮蓄膿症である可能性もあります。閉塞性子宮蓄膿症は織物の排出が見られる開放性に比べより深刻度が増します。

 

治療は内科療法と外科療法に2つに分けられます。

根治的な治療は外科手術による子宮卵巣摘出術になりますが、近年では注射薬を用いた内科療法の治療成績も上がってきています。ただし根本的な解決にはならないため、再発が多いことも事実です。

ですので、内科療法と外科療法を併用するなど、その子にあった治療法を選択することが良いかもしれませんね。

 

この病気の怖いところは、症状が悪化し敗血症といった全身性の病態に進行すると命の危険を伴う点にあります。軽症のうちに病気を発見するには積極的な検査が必要になりますが、症状が軽いうちに病気の存在を疑うことは難しいかと思います。そのため病院に来る頃には重症化している子が多いのが現状です。

 

避妊手術を受けていない女の子のワンちゃんネコちゃんがご家族にいる場合は、この病気のことを常に頭の片隅に留めておくことが、早期発見につながるかもしれません。

 

怪しいなと感じた際は早めにお近くの病院を受診してくださいね。