http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090120-00000687-reu-bus_all
[東京 20日 ロイター] オバマ米新政権が20日に発足することを受け、株式市場ではオバマノミクス関連株への関心が高まっている。
日経平均が一時8000円を割り込むなど株価は不安定な状態を続ける中、新政権の経済対策が本格的な反騰につながる材料になるとみる関係者は少なくない。しかし、大規模な対策は一段の財政悪化を招き、ドル安/円高の加速が懸念されることから、米景気の回復期待から輸出関連株をストレートに買う格好とはなっていない。関連銘柄について、代替エネルギーの環境や公共事業、金融などのテーマで絞り込む動きになるとの見方が出ている。
米議会民主党は既に減税や財政支出などを盛り込んだ総額8250億ドルの景気対策法案を明らかにしたが、この対策が米国の需要を喚起し、大きなダメージを受けた日本国内の輸出関連株を再浮上させる──。これが株式市場で理想とされる相場シナリオだ。
だが、シナリオに沿って自動車・電機といった輸出関連株が上値を追うムードではない。「確かに新政権が打ち出す対策で、米景気は上向くかもしれないが、その一方で財政の悪化に伴うドル不安、円高の進行が懸念される。それを踏まえればハイテク株など輸出関連株は圧迫感が強い」(東海東京証券・エクイティ部部長・株式トレーディング業務統括の倉持宏朗氏)との声が出ている。どの程度、対策の効果があるか現時点ではっきりしない上に、仮に需要が持ち直しても、円高が進行した場合は利益面で相殺される部分が大きくなるため、単純に輸出型企業を軸としてオバマノミクス関連株の相場シナリオを構築するのは難しい。
こうした点から、株式市場では単なる消費喚起という視点にとどまらず「重点を置くと思われる分野をテーマとして、物色対象を絞り込む動きとなっている」(準大手証券情報担当者)という。
オバマ氏の景気対策で注目されるのは、急がれる金融対策に加え、公共事業、所得減税、雇用創出などといった項目。とりわけ投資家の関心が高く、実際に物色されているのが環境関連株だ。
その背景には「グリーン・ニューディール」と言われる代替エネルギーの普及推進策がある。ここでは米国内の代替エネルギーの生産量を3年間で倍増させるという数値目標のほか、持続的な財政資金の投入を示唆している。
これを手掛かりに、全体的に大幅下落した20日の株式市場でも、太陽電池に期待がかかるシャープ<6753.T>が逆行高を演じた。SMBCフレンド証券・シニアストラテジストの松野利彦氏は「年初より、太陽光発電、原子力発電などの関連銘柄が『グリーン・ニューディール』による期待から人気を集めている。相場の先行きに不安が大きいが、米国の施策から環境関連は安心できる投資対象として、市場はみているようだ」と指摘する。
大和証券・投資情報部では、シャープのほか、太陽電池の有力企業である三洋電機<6764.T>を取り込むパナソニック<6752.T>、太陽電池の製造装置メーカーであるエヌ・ピー・シー<6255.T>、風力発電に強みがある代替エネルギー関連として三菱重工業<7011.T>、環境関連以外では大型公共投資を背景にコマツ<6301.T>などをオバマ関連株として挙げていた。
さらに環境以外では、金融対策への注力に関心が集まっている。依然として市場では金融株に関してネガティブなイメージが強い。20日の株式市場でも、東証業種別株価指数で銀行業は、欧州で再び金融不安が高まったことを受けて軟調に推移した。
しかし、大和総研・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏は「どのように景気浮揚策を打ち出しても、土台となる金融システムが不安定な間は、資金が回らないのは過去の日本をみても明らか。そのため景気対策を効果的に行うために、金融問題の解決を急ぐことが想定できる」と指摘する。
クレディ・スイス証券・ストラテジストの市川眞一氏も「大型景気対策を打っても、米国経済は『雇用なき回復』を続けるとみられ、輸出関連やシクリカル系銘柄への転換は時期尚早」と予測。さらに「発足当初の新政権は、金融問題の解決に注力するものとみられ、東京市場でも売られていた金融系セクターのリバウンドが期待できる」と分析するなど、オバマ新大統領就任とともに、銀行など金融株の戻り相場を期待するムードが高まってきている。
(ロイター日本語ニュース 水野 文也記者 編集 田巻 一彦)