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□株安「前半に底打つ」/円高 後半には歯止め
米国を震源地にした「100年に1度の大津波」に襲われた平成20年の国内金融市場。日経平均株価は10月に7162円まで暴落し、バブル崩壊後の最安値を更新し、円ドル相場は12月に13年ぶりの円高水準となる1ドル=80円台に突入した。金融危機はなおくすぶり続け、実体経済は世界同時不況の様相を呈している。さらなる激震が懸念される21年の株式、外国為替市場はどう動くのか。エコノミスト8人の予想を基に占った。
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■下値は6000~7500円予想 バブル後最安値更新も
平成20年の日経平均株価は8859円56銭で取引を終えたが、21年の下値を聞いたところ、7人が6000円台、残り1人も7500円と回答し、20年に記録したバブル崩壊後の最安値の更新も視野に入れた一段の下げを予想している。
◆同時不況は継続
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「これまでの米国の過剰消費の調整が本格化し、世界同時不況の継続は不可避」と、世界経済の悪化を背景に、株価も下げるとみる。
「世界的な景気後退と信用不安が続く中で、年前半は株安、円高に動きやすい」と予想するのは、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト。米国経済の一段の悪化で、ドルが売られ、日本経済を牽引(けんいん)する輸出企業を円高が直撃し、株価の足を引っ張るという“負の連鎖”だ。
下値の時期は1~4月が5人、8月が2人で、前半に底を打つとの予想が大勢を占めた。ただ、クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「前半に1度上がるが、その後、22年にかけて下がる」として、逆に年末安値を予想している。
21年の高値予想は白川氏の8500円を除くと、1万~1万2000円となり、底を打った後は年後半に向け回復していくとのシナリオを描く。
◆くすぶる金融危機
金融危機については、各国政府による公的資金の投入などの対策が奏功し、大和証券SMBCグローバル・プロダクト企画部情報課の西村由美次長は「すでに一巡した」とみており、21年は実体経済の行方に焦点が移りそうだ。
特に金融危機の震源地である米国の動向が注目され、信州大の真壁昭夫教授は株価回復の条件に「米国の不動産市場が落ち着きを取り戻し始めること」を挙げる。
金融・財政政策を総動員した各国の危機対策への期待も大きい。明治安田生命の小玉祐一チーフエコノミストは「オバマ政権の財政政策のほか、欧米中央銀行の大胆な金融緩和策で最悪期を過ぎる」と指摘。第一生命経済研究所の嶌峰義清主席エコノミストも「各国の対策が実効性を伴ってくれば、相場も底打ちする」と予想する。
またニッセイ基礎研究所の矢嶋康次主任研究員は「本格的な上昇には新興国経済の回復が必要」と強調する。日本を含めた世界経済が、これまで成長エンジンを担ってきた米国への過度の依存から脱却できるかがカギとなりそうだ。
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■1ドル=80円台で推移 米経済が相場のカギ
外需に依存する日本経済にとって、為替相場の動向が景気の行方を大きく左右する。相場のカギとなるのが、米国経済だ。米国では金融危機が実体経済に波及し、雇用や所得の悪化で個人消費が冷え込み、販売不振でゼネラル・モーターズなどの経営危機が相次ぎ、雇用や所得への不安が高まるという悪循環に陥っている。ドルが基軸通貨としての信認を失えば、急激な円高ドル安が進行し日本経済はその直撃を受ける。
8人のエコノミストの円の高値予想は1ドル=80円台が6人と最多を占め、70円台が1人、90円台が1人となり、年前半は円高傾向が続くとの見方が多い。
大和証券SMBCグローバル・プロダクト企画部情報課の西村由美次長は「米国の利下げの影響から円高局面が続くが、日本の景気も低迷しているため、極端な円高にはならない」とし、金利差を要因とした緩やかな円高を予想する。
◆1ドル=70円台突入も
一方で、急激な円高リスクを警戒する声も根強い。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「米国経済の調整本格化」を理由に、1ドル=70円台に突入する局面もあるとみている。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストも「年前半を中心に円高傾向が続く」として、円高定着が国内の輸出企業の業績に与える影響に懸念を示す。
米国の景気動向に加え、相場の動向を左右する要因として注目されるのが、オバマ政権の経済政策だ。積極的な財政出動で経済の立て直しを急ぐ一方、ブッシュ政権と同様に「強いドル」政策を堅持するとの見方が多く、急激な円高に歯止めがかかるとの期待は大きい。
信州大学の真壁昭夫教授は「オバマ政権が適切な経済対策を打ち出し、効果が見え始めれば、ドルを買い戻す動きが出てくる。米国経済の回復が本物になれば、年後半には円高の動きも弱まる」とみる。
ただ、積極的な財政出動は、米国の財政赤字を一段と拡大させ、ドルの信認低下を招く懸念があり、オバマ政権にとっては“もろ刃の剣”でもある。
◆円高ユーロ安を懸念
ドル以上に懸念されるのが、円高ユーロ安だ。明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「これまでユーロは過大評価されており、欧州の景気悪化の深刻化で、ユーロ安が進行する」と予想する。
輸出頼みの体質から脱却できない限り、日本経済は21年も為替相場に翻弄(ほんろう)されることになりそうだ。
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