その娘は、

乗車して車を走らせるなり

「ふーっ」と

大きな溜め息をついた。


お客様とお姉さんに見送られ乗って来た。


アフターに付き合わされたヘルプの娘だろう。


「どちらまで参りますか?」

「○○の交差点まで」

「かしこまりました」

道は1本道、

特に経路の確認は必要なかった。

彼女はおもむろに電話をかけ始めた。


「もしもし」

相手の声は聞こえない。

「もうすぐ帰るよ~」

「何、怒ってるの?」

「えっ、電話に出ないって、5分じゃない」

「留守電聞いたら折り返してって言うから、すぐ折り返したじゃない」

「だって、しかたないでしょ」

「仕事よ、仕事」

「えっ、今、どこにいるの?」

「もう、早く帰って来てよ!」

「何で、いつもそうなの?」


ここで、

相手は電話を強制終了したようだ。

再度、

電話をかけなおす彼女

2回

3回

やっと出た。

「帰ってきてよ。もうすぐ私、家に着くから」

「もう、外泊はしない約束でしょ!」

「なんで!」

そしてまた強制終了


リダイヤルする彼女

2回

3回

4回



もう、狂ったようにリダイヤル。


相手は出ない。


乗った時は

穏やかな娘だったのに、

降りる時は、

モーレツに不機嫌。


無理も無い。


いいよ、

運転手にくらいあたっても。


水商売の女を彼女にしたのか、

彼女が水商売を始めたのか

いずれにしても、

男が

子供。












たける