2012.6/3 -箱入り娘- | rayのブログ

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一昨日から母方の両親が家に泊まりに来てます。

私から見たら祖父と祖母なのですが、この二人の存在を知ったのは今から数年前です。それまで私が祖母だと思っていた人は後妻だったというのをその時知りました。


一度だけ今回遊びに来ている田舎へ行ったのですが、本当に何もないところでした。

一番驚いたのはトイレが水洗ではないところ…あの臭いにはなれそうもないと思います。笑


祖母は離婚後今の祖父と出会いました。そして私は実際には会った事はないのですが、一人の女の子を産んだそうです。祖母にとっては母と叔母に続く三人目の女の子。しかも結構年齢がいってからの子と可愛がっていたらしく、それこそ箱入り娘で世間のことを何も知らない女性だったそうです。


私は言ったことないのですが、幼い頃父親に"お父さんのお嫁さんになる"と言う女の子が昔から居るらしく。大抵の女性は成長するにつれ真逆の"お父さんの入ったお風呂に入りたくない"とか、"親父臭がするから近づくな"等と反抗期の子供らしい発言で傷つける人が多いと思います。

ですが、箱入り娘として育った叔母は生涯"お父さんのお嫁さんになる"と言い続けていたそうです。


頭の良かった叔母は学校でも成績優秀でした。その上とても穏やかな性格で優しい子だったと初めて祖母に会ったとき話してくれました。

祖母と祖父、特に祖父の方が叔母をとても可愛がっていて何でも買い与えていたのだといいます。変え与えていたと言っても叔母は"これが欲しい"とは一言も言わなかったそうで、ただ欲しいものが見えるとその前に立ってただ見つめていました。祖父はそれに気付くと何も言わずに買ってあげました。

学校が休みの日曜には毎回祖父と外に出かけ遊んでいたそうです。それを叔母は”デート”と言いながらとても喜んでいました。


学校を卒業した叔母はある企業に就職し、そこでOLとして働くことになりました。

そこで叔母は人生を狂わせる出会いをしたそうです。


祖母は毎日叔母の為にお弁当を作っていたらしいのですが、ある日蓋を開けると中身が朝とほぼ同じ状態で返ってきました。

祖母は心配になり叔母に聞こうと思いましたが、叔母は部屋に篭った切りその日は出て来ませんでした。

そんな日が数日続き、心配も頂点に達した祖父と祖母は会社に事情を聞きに行きました。


叔母の同僚の話によると、叔母はある男性に恋をしていたそうです。


それは新入社員の歓迎会が行われた日の事でした。

祖父の考えでずっと学校は女子ばかりのところに行っていた叔母には男性への免疫が無かったのですが、知ってか知らずか…ある男性社員が叔母の隣に座りその肩を抱いてこう言ったそうです。

"彼女は俺の女だ。可愛いからと言って手出しするなよ"

免疫のある人なら冗談として受け流していたかも知れませんが、叔母は違いました。その一瞬でその男性社員に恋してしまったそうです。

それからと言うもの叔母はその人が目の前を通る度にその人の姿が見えなくなるまで黙って見つめ、その人の姿が見えなくなると静かに涙を流していました。


それを聞いた祖父と祖母はその男性社員に事情を聞きましたが、案の定男性社員の方はただの酒の席での冗談だったそうです。その上その男性社員には将来を約束している恋人がいました。祖父と祖母はそれを聞いてただ帰るしかなかったそうです。


もし叔母に友達が居たらもっと違ったのかも知れませんが、叔母は祖父と祖母の言いつけで友達を作らずに勉強しかして居なかったそうです。私ならきっと言いつけなど守っては居ませんでしたが、箱入り娘の叔母はそれを忠実に守りました。


人生初の恋と失恋をした叔母は狂い始めました。

会社に行っても何も手につかず、その男性社員が目の前を通ると涙を流す日々。

家に帰り家族が揃っている時は何とか自分を保っていたようなのですが、一人になると壁に向かって何やら一人でブツブツと呟いていたそうです。


そしてついに事件は起こりました。

祖母が夕食の準備をしていると叔母が背後に立って言ったそうです。

"貴女が居るからいけないの。居なくなって"

そう言うと叔母は包丁で祖母を刺そうとしたそうです。幸い祖母に怪我はありませんでしたが、叔母は声を上げて泣き崩れました。


叔母はもしかすると祖母を男性社員の恋人に重ねていたのかもしれないと祖母は言っていました。

祖父のことが大好きだった叔母は、その祖父と結婚している祖母を恋敵として見ていたのかも知れません。


祖父と祖母はついに叔母を精神科に入院させることを決意しました。

叔母自身その方が言いと納得はしていたのですが、いざ入院となると叔母も付き添いで行った祖母も不安になりました。"入院したくない、置いて行かないで"と泣いていた叔母の姿を祖母は生涯忘れられないそうです。


それからそう長くない日に叔母は亡くなりました。



叔母は幸せだったのでしょうか。

今でも解かりませんが、少なくとも祖父と祖母がどんなに悔いているのかは二人を見ていると解かる気がします。

だから久しぶりに会った娘の母と叔母、そして初めて孫である私と妹に会った時、祖父と祖母はあんなにも笑顔になったんだと思いました。


二人は生きている内に結婚できるかは解かりませんが、喜んでくれるように頑張りたいと思います。