ブログには書いていなかったが来年帰国しようと思っている。かなり時間をかけて出した結論。膨大に手術執刀ができる病院に1年半後に accept されたのだが、それが将来を考える転機となった。英語の限界を感じ、永久職をこちらで取ることが難しいと悟ってきたのが主な理由。将来いつかは帰国するということを考えたときに、指導医付であと数百例 CABG+AVRをすることにあまり意味を感じないのでもう今帰ってもいいと思えてきた。


指導医付で執刀することは技術として間違いなくできるだろうし、あと何例しても自分が独立するときの役にたちそうにない。なによりも自分にあっていないやり方をやらされる可能性もあり、その場合には何の役にも立たないだろう。独立して術者になるときには何例トレーニングしていようとやっぱり緊張するだろうし苦労するだろう。それを切り抜けるトレーニングは充分に受けたように思うので、今が独立すべき時だと思っている。


30代後半という年齢はかなりシビアで、スポーツ選手なら盛りをとっくに過ぎて引退している人も多いし、一般会社なら主力社員、他の科なら自分の名前で患者さんを呼んでどんどんキャリアを積んでいく年齢。人生で中間地点は過ぎているといっていいと思う。それが心臓外科の自分に限っては未だに トレーニング中 である。これはやはり異常。


"You are replacible." これは帰国先を色々と考えていたときに Dr. Rm からいただいた言葉。心臓外科という職業は、”自分の代わりはいくらでもいるので、いつまでもベストを尽くさないといけない” という意味がこめられていた。そして僕には症例がいっぱいあって論文がたくさん書けるところに帰国して欲しいとふつふつと話された。Dr. Rm も 以前に、彼の師匠のDr. D から同じ事をいわれたらしい。世界のトップサージャンでもそんなことを考えて毎日頑張っている。


日本ではなによりも心臓外科医が腐る程いるので自分はもっとそれを意識しないといけないと思う。CABG + AVR を安全にできる心臓外科医もいまや腐るほどいる。 50 才ぐらいの心臓外科部長が偉そうにしていると、若い代わりがいくらでもいるので、すぐクビになるような時代である。まさに "I am replacible."である。自分の特色である、リサーチもできて膨大な時間を仕事にそそげるという特徴を生かしてやっていきたい。


いままでの30年以上の人生をまずまずそつなくこなしてきたが、大成功はいつもできずにやってきた。自分の一番の弱点は小さな成功に満足して努力を止めてしまうことだと思う。"I am replacible." "Be hungry !"


ここ数日疲れでやる気がでないのでこういった言葉を自分に言い聞かせている。