翌日、火曜日。 2日目です。
面会時間は15時からでしたが母が5分ほど前に到着したようでLINEで連絡が来ました。

母「何時に来る?」

「もうすぐつくよ」

母「なんか…手術前よりひどくなってる。どうしよう」



え?手術成功したんでしょ???


不安になりながらも到着し、病院に向かいました。


その日はICUから出て、脳神経外科の病棟にうつっていました。
ナースセンターの目の前の部屋、ドアはあけたままでカーテンが一枚しまっているだけ。


その時は気づきませんでしたが、後から主治医に聞いたところ一番重症の人が入る部屋だったんですね。

あんなに大変そうな人がたくさん入院しているのに、お父さんが一番重症なんだ…




部屋に入ると、父が目をつむり、眉間にしわを寄せていました。

母「ものすごく、頭がいたいんだって…。手術前よりいたいって」


「そっか…」


頭の中では、なんで手術成功したのにまだ頭がいたいの?また再発したの?

ネットでたくさん調べてはいたものの知識がない私は意味がわからず、何も声をかけることができませんでした。


父「痛み止めやって。もう無理。」


「ん?看護師さんに聞いてみるね」


ナースコールを押し看護師さんに痛み止めを欲しがっている旨伝えると、痛さの確認の後透明な点滴を持ってきてくれました。

しかし、つけてから5分ほどすると

父「全然きかんわ!!!もっと強いのにしてくれ!!看護師を呼んでくれ!!」

と叫びました。

驚きつつ、看護師さんに確認すると

「今の点滴を入れ切るまであと10分ほどかかります。そのあと、もう少し強い痛み止めを入れますね。」

と仰りました。

その後時間がきて、今度は白い点滴を入れてくれました。

また5分ほどすると、同じく父が効かないと怒り出します。そして

父「さっきやったやつをやってくれ!!」

と怒鳴ります。


なぜここまで効かないのか、なぜこんなに怒り出すのか、さっきやったやつ…?
部屋をでて看護師さんに確認しました。

「今使った点滴は、手術後の痛み止めにも使われるような強いものです。ただ、お父さんには四時間ほど前にものすごく強い薬を使っています。本当に痛みが消える、本人からするとすごくいい薬です。ただ、その分体にはとても悪いです。使いすぎると、くせになり、中毒になります。医療用の麻薬なんです。なるべく使いたくないし、最低でも間隔を6時間は開ける必要があります。」


すごく、よくわかりました。あまり使わせちゃいけない薬なんだな、、、。でも今お父さんはそれを欲しがってるんだな。それくらい、痛いんだな。



その日から、毎日15時〜20時まで面会をしていましたが、痛みと、痛み止めと闘う毎日が始まりました。
手術は17時頃から行われる予定でしたが、なかなか呼ばれず…

看護師さんに確認すると、前の手術が長引いているとのこと。

そこからも18時、19時と全く呼ばれず…
父も、「せっかく早期発見だったのに…死んでしまうよ。」とかなり落ち込んで行きました。


そして、20時を過ぎた頃ようやく看護師さんから

「呼ばれました。本当にお待たせしました。行きましょう。頑張りましょう。」

との声がかかりました。

「頑張ってね、大丈夫。」

しっかりと手を握って見送りました。



22時30分頃、先生が待合室に入ってこられました。


「手術は無事、終わりました。大丈夫です。
ただ、残念ながらくも膜下出血は手術すれば終わり、となる病気ではありません。今から2週間後まで、脳血管攣縮という合併症が起きる可能性が大変高くなります。出血した血が脳に浸透していくときに、脳が血管自体を細く縮めてしまい最悪の場合脳梗塞になる可能性があります。
今手術で一つ目の山を越えました。次は2週間無事に過ごすことが二つ目の山を越えることになります。頑張りましょう。
今、手術前と同じようにお話しできる状態です。また後ほど看護師がICUへお呼びします。」


その時は手術が無事に終わったことで本当に安心しました。


その後父に会うと、放心状態でした。

「本当に…今まで経験したことのない辛さだった。手術中、頭の中をずっと火花が散っていた。頭が熱くて苦しかった。今は、痛みもなく、すごく楽になった…。」
(父はカテーテル手術であり局所麻酔のため手術中常に意識がありました。)



楽になったという言葉を聞いて、その時は次の日から始まる地獄など想像もせず、、、、

安心して帰宅しました。
仕事中、母からLINEが届きました。


母「お父さんが、くも膜下出血になっちゃった。今○○病院。今日緊急手術だって」


え?
くも膜下出血って…


驚き過ぎて、すぐに母親に電話するも出ず

携帯でくも膜下出血について調べると…


「出血時の死亡率50パーセント」



何が何だかわからず、何度も何度も母に電話するもやはり繋がらず

すぐに病院に向かいました。


え?お父さん死ぬの?死んだの?



私は結婚して家を出ており、父には1ヶ月以上会っていませんでした。


涙が止まりませんでした。




病院に着くと、ICUで寝ているお父さん。意識はあって、話もできました。ただ、すごく頭が痛いって。


別室で母に話を聞くと、前日の夜から何かで殴られ続けているような痛みが続いていて、鎮痛剤もきかなかった。夜も寝られず、朝になっても治っていなかったため病院に来た。すると先生が

「落ち着いて、寝転んでください。くも膜下出血です。すぐに大きい病院に搬送します。」

そこから救急車で搬送され、今ICUで手術を待っている状態とのこと。

意識があるため、くも膜下出血としては軽い方とのこと。ただ、少しの刺激で再出血する可能性があることと、再出血した場合助かる可能性はかなり低くなるとのこと…

そして、出血位置が目の裏であり場所があまりよくない。(手術しづらい?場所とおっしゃっていました。)


カテーテル手術(足の付け根あたりから血管内を通して行う手術。)を行うが、難しければ途中で開頭手術に切り替える。との説明を受けました。