俺の帰るところは アルカディア
目的は、当時の少年たちの憧れハーロック。
後は、エメラルダスや新たに登場したハーロックの恋人マーヤの美くしさをみることでした。
ストーリーの素晴らしさに気づくのは、ずっと先のこととなります。
この映画は、若き日のハーロックの物語。
そして、子供だった私には理解しがたい男の映画でした。
松本零士先生がライフワークとされている『戦場まんがシリーズ』や、男同士の友情、絆、約束、至上の愛、等々・・・
今だからわかる、松本零士ワールド満載の作品です。
エメラルダス「私にはこの人がみえる・・・。触れたら、壊れてしまいそうな優しい姿の奥に炎のようなマグマを抱いているひと・・・。」
ハーロック2世「信じられる本当の男になら・・・本当の友なら・・・眼でも心臓でもくれてやるさ。」
画像はハーロック2世が描かれた直筆サイン色紙と、メッサーシュミットBf109G-6です。
暫く手をつけていなかった原作の『キャプテンハーロック』や、映画の続編『無限軌道SSX』も楽しもうと思います。
自宅のコレクションルームには、TV版アルカディア号のブルーカラーver.も仲間入りです。
少年から大人へとなられた方々、是非『劇場版 わが青春のアルカディア』を再度ご覧ください。
時系列では『劇場版 わが青春のアルカディア』→『劇場版 銀河鉄道999』→『さよなら銀河鉄道999』
すると、あることを感じました。
『青春の幻影』とはメーテルだけじゃなく、ハーロックもまた『青春の幻影』だったのかなぁ~と。
因みに、アルカディアとは理想郷﹙誰にとっても自分の一番大切な場所を指す言葉﹚です。
ハーロックとトチローの巡り合わせは偶然の必然。
私が作詞家として敬愛する松本隆さんと、大村雅朗﹙マサアキ﹚さんの巡り合わせも然り。
今回の記事も『松本零士マニア』から内容が逸れますがご了承ください。
画像は、若き日の松本隆さんです。
大村雅朗さんとは、46歳で早世した福岡県出身の作編曲家。﹙1951年5月8日~1997年6月29日﹚
9月21日、『風の譜﹙うた﹚ ~福岡が生んだ伝説の編曲家 大村雅朗~』が福岡と佐賀エリアのみで放送されました。
番組は、3月に松本隆さんが博多の総鎮守・櫛田神社へ参拝するシーンからはじまります。
大村雅朗さんの御実家では、『Sweet Memorys』﹙1983年﹚の直筆の譜面を御覧になり「ほとんど大村くんの匂いしかしない」と松本隆さん。
続けて「額に入れて飾っとかないと」と、宝物をみるように仰っていました。
5月、東京のレコーディングスタジオでは嘗ての仲間たちが集い、久し振りの譜面に感嘆の声をあげ、完全再現された『セイシェルの夕陽』﹙1983年﹚/ 他
大村雅朗さんとのエピソードを語るゲストの方たちの表情。
多くの人から愛されていたことが窺えます。
特に松本隆さんは、大村雅朗さんを仕事のパートナーとしてだけでなく弟のように思っていたそうです。
花を供え墓参するシーンでは、私も松本隆さんと共に掌を合わせTVの前で泣きました。
遺作を預かっていた松本隆さんが大村雅朗さんへ捧げた、松田聖子さんの『櫻の園』﹙1999年﹚が流れる画面には櫻の花びらが舞っています。
「生きていてくれたらと、何度呟いたかわからない」そう言って櫻を仰ぎ見る横顔。
私は、こんなにも美しく切ないドキュメンタリーをみたことがありません。
まるで、ラブストーリー。
ラストには大村雅朗さんが福岡に住んでいた頃のアパートの跡地が映り、小さな公園にある1本の大きな櫻の木が紹介されました。
その櫻は、毎年春、見事な花を咲かせているそうです。
改めて、大村雅朗さんのご冥福をお祈り申し上げます。
さて、10月14日の月曜日。
外は心地好い風の吹く秋晴れです。
この日は祝日『体育の日』なのですが『鉄道の日』でもあります。
初めて乗車した甘木鉄道で『太刀洗駅』を目指し、福岡県朝倉郡の『筑前町立大刀洗平和記念館』へ伺いました。
2020年1月30日まで開催される『大刀洗飛行場100年周年・開館10周年記念企画展』と、当日の『松本零士氏トークショー』のためです。
また、特攻隊の中継基地でもありました。
その歴史を学び平和を語り継ぐ歴史資料館です。
世界で唯一の現存機である旧日本陸軍九七式戦闘機﹙車輪の寄贈:松本零士氏﹚や旧日本海軍零式艦上戦闘機三二型、等々・・・
太平洋戦争・大東亜戦争中の資料約1800点が展示されています。
「父への慰霊も込めて」と初めて大刀洗の地を訪れた松本零士先生が語られたのは、父への想いと平和への願いです。
「人は死ぬために生まれて来るのではない 生きるために生まれて来るのだ」
父親のDNAは松本零士先生へと受け継がれ、今を生きる私たちの心に強く伝わってきます。
戦争の不条理や平和の尊さを訴えている数々の展示に、胸が締め付けられるような想いになります。
ふと、『宇宙戦艦ヤマト』の歌詞「必ずここへ帰って来ると・・・」の1文が過りました。
尚、松本零士先生は特攻隊を想起させるとして『さらば宇宙戦艦ヤマト』のラストに猛反対されたそうです。
ロケット技師を目指し「あと30年生かしてくれたら、、、月までロケット打ち上げてみせる」と話す青年が主人公の戦場まんがシリーズ『音速雷撃隊』等のセル画や原動画も見れて良かったです。
松本零士先生が父親をモデルにされた『宇宙戦艦ヤマト』沖田艦長のマグカップを今日の記念に購入し帰路に就きました。
どうかこの世界が、すべての人にとっての『理想郷』となりますように・・・
【追記】
ハーロックの声優を務められた井上真樹夫さんが逝去されました。
享年81歳です。
御冥福をお祈りいたします。
1938年11月30日~2019年11月29日