「だから、後悔してるわけですよ。あの時、薬剤師がずっとそばにいてやればよかったなって。どうせ、恋人ともあのあと別れちまったし」
「薬剤師とは、結局うまくいかなかったんですか」
「あ、別に訂正しなくても問題ないだろうけど、彼女な」
「……はあ」
おかしいな、二、三本の糸しかないのに、ものすごく俺の中で絡まってる。
彼女は男ではなく薬剤師だったんだよな?だから、恋人といえば普通は男であるけど、でも彼女いわく彼女であって、恋人は女性である……。うん。
「まあ、話聞くに?手は出してないみたいだけど、やっぱり当然のように心配なんだよ。
薬剤師は私にとって、もう大切な人だからな。だから、この際はっきりとてめえの気持ちを聞かせろと、言ってるわけなんだよ」
「もうひとついいですか?」
「駄目だ」
「そこを何とか」
「わかった。なんだ」
「愛澤のこと、どう思ってるんですか?」
そう聞くと、由希さんは鼻で笑った。
「妹だよ」
よかった。実は性的な意味で好きでしたとか言われたら、この人からも彼女を守らなくてはいけなくなるところだった。
「もういいだろ?私は全部話したんだ。こんどは片峰、お前のことを話せ。どう思ってるんだ?」
俺は彼女を正面から見据える。彼女も俺のことを正面からまっすぐに見ていた。
俺が、あいつのことをどう思ってるか。そんなの、考え出したらいろんな答えが出てきてしまう。
少なくとも、複数の存在として薬剤師の中に存在している。
