428 ~封鎖された渋谷で~
428 ~封鎖された渋谷で~(よんにいはち ふうさされたしぶやで)はチュンソフト が開発してセガが販売した渋谷の街を舞台にしたサウンドノベルです。
サウンドノベルとは文章を映像と効果的に挿入される効果音で読み進めていき途中に挿入される選択肢等から物語りが変化していくゲームで、本作では背景に用いられる画像に実写映像を用いているのが最大の特徴であります。
ちなみにチュンソフト製サウンドノベルで実写映像を用いたのはセガサターンで発売されその後PS1や携帯アプリやPSPに移植された「街 (リンク先はPSP版)」が最初で、本作に近いゲームシステムや渋谷を舞台としている等の共通点があります…が、明確な続編ではありません。
本作の最大の特徴はひとつの物語を複数の人物の視点から進めていくいわゆるザッピングシステムを搭載している事で、一人の主人公が行なった行動が別の主人公の物語に影響を及ぼしていく為に複数のキャラクターを同時に読み進めていく事になります。
物語の姿を借りた迷路を正しい道を求めて進んでいくような、複雑に絡み合った物語という紐を解いていくような楽しさのあるゲームシステムでこれも「街」を踏襲している部分なのです。
これは下手するとひとつの主人公の物語を見るために他の主人公の物語が邪魔になって全体的なテンポが悪くなる危険性のある手法なのですが、本作では物語のテンポが早く書かれており、ひとつひとつの物語で詰まるタイミングがとても秀逸に設定されておるので上手く続きが気になるように作られているのです。
一人の主人公の物語が気になる→先を読むために別の主人公の物語を読む→その主人公の物語も気になる→更に他の主人公の物語を…と言った感じで、一人一人の物語のテンポの良さが全体のテンポを押し上げているような疾走感のある作りになっていて一度プレイし始めると止まらなくなる魅力があるのです。
そして物語の作り方も非常に魅力的、同じ人物でも前半と後半で立場や役割が大きく変わっていたりとか、プレイヤーが「もしかしら…かも」って思い始めたタイミングで実際にそれが明かされるようになっていたりとか、プレイヤーを飽きさせないゲームならではの物語の作り方は是非とも体験して貰いたい所。
特に後半でのとある展開はベタなんだけど「そう来るか」って思わせる部分があるので是非ともネタバレせずにプレイして貰いたい。
始めはバラバラだった各主人公達の物語が徐々に近づいて集約されていきやがてひとつの大きな流れになる…そんな楽しさが味わえるのです、「街」では複数居る主人公達の物語は最初から最後まで分かれておりそれはそれで楽しかったのですが、そのあたりが「428」と「街」の明確な違いと言う感じです。
「428」と「街」の比較では時代を比較してみるのも面白い所、両方とも同じ渋谷という土地を舞台にしているのですが「街」と「428」には10年の歳月かあるのです、この比較も結構面白いので片方をプレイしたユーザーは是非とももう一方もプレイするべし。
細かいところではゲーム全体にストレスが溜らないように配慮されているのもポイント、読み込みは非常に早くてセーブは適切なタイミングで違和感なく自動的に行なわれるし演出で使われる動画も長すぎないのでだれる心配もありませんし、なによりWiiリモコン縦持ちの片手でプレイ出来るってのが大きいのです。
ゆったりと椅子にでも腰掛けて片手でWiiリモコンを持って428をプレイしながらもう一方の手で飲み物を飲むなり食べ物を食べるなりしても良いし、勿論なにもせずに手をだらりと下げていても良いし、ポインティングもモーションセンサーも必要ないからWiiリモコンを持つ手も自由に出来るのです、まさにフリースタイル。
一応Wiiリモコン横持ちやクラシックコントローラーにも対応していますがこのゲームに関しては不要と言って良いです、今後もし他のゲーム機に移植されたとしてもWiiリモコン縦持ち片手の快適さには勝てないんじゃないかと言い切ってしまえる程だと思いました。
○こんな人にお勧め
・日本語が読める人
・サウンドノベルファン
・実写映像に抵抗がない人
○オススメプレイ環境
・ゆったりとしたソファーに腰掛けてWiiリモコン片手にプレイ
・大きなテレビと良い音響があれば尚良し感じ