偏った​医学部志向

アメリカからこんにちは😃

 

 

 

日本の受験生は、今が正念場。

感染症に気をつけ、悔いなくやり切って欲しいです。

 

 



 

 

ところで、以前こんな記事を書きました。

 

 

 

 
 
 
親御さんの中には
医学部志向の一体何が問題?!
優秀な人が医師や研究者になるべき。
これから超高齢者社会、医療分野には優秀な人材が必要!
とりあえず医師になれば、高い給料が保証される。
という意見が多いのを知りました。
これには、大きな誤解があるなと感じました。
 
 
 
 
 
 
私自身は、日本の偏った医学部志向には問題があると考えています。
本人が医師になりたくて、目指すことに
何の異論もありません
 
 
 
 
 
 
 
 
私が誤解という理由は下記です。
 
 
 
 
まず医療分野の研究に関して
優秀な人材を必要としています。
が、ここで間違ってはいけないのが
医学部6年間は、基本的に臨床医を育てる教育をしているということです。
 
研究者を目指すなら
医学部は決して最善の選択肢ではない
というのが日本の現状です。  
 
 
 
臨床以外の分野で、より才能を発揮できるにも関わらず、周囲の学生や大人達の発言に流され、偏差値だけで医学部に進学することは、才能と時間の無駄遣いだと思います。
 
 
研究者が比較的多いとされる東大医学部のサイトからの抜粋です。

 

    

東大病院では総合研修センターを設置し、優れた研修システムを整備している。疾患の多様性や診療知識、技術の進歩は昨今、日進月歩であることに鑑み、臨床医学における研究とあいまって医師たらんとするものは一生学び続ける心構えが必要である。基礎医学研究を志すものは次に多く、臨床医を経験した後に基礎医学研究に携わる者を加えると、これまで大まかに卒業生の約1割を数える。とはいえ近年は、基礎医学系教室における医学部出身者の割合は減少傾向であり、能力ある人材の参画は非常に歓迎される。様々な機会に研究能力が自らに備わっているかどうかを確認し、備わっていると感じたら積極的に参画してほしい。医学研究は常に多様な分野との融合により発展してきており、研究能力にはチャレンジ精神や実験技術のみならず、様々な背景の人材と交流するための多様な好奇心やコミュニケーション能力も含まれる。

 

 

 

 

恐らく研究者が多いであろう東大でも卒業生全体の1割、しかも減少傾向にある。

基礎医学の研究において、医学部出身者の割合はこれほど低いのです。
この1割に含まれない臨床研究をしている医師は沢山います。
しかし、日本の現状では、プライベートの時間を削り研究をしている人がほとんどだと思います。
 
 
 
 
続いては、優秀な人が医師になるべきという点
人の命に関わる職業ですから、もちろん生半可な気持ちで取り組まれては、患者としてはたまったものではありません。
しかし、そこに、天才的な閃きや、抜きに出た優秀さが必要かどうかということです。
答えは否でしょう。
 
 
 
臨床医には、データに基づく多くの知識が必要で、また常にアップデートしなければなりません。
しかしながら、天才的閃きや、類稀なる優秀さを発揮できる場面は限られます。
また、いくら天才的頭脳があっても、それ故に、凡人とコミュニケーションがとれず、多々問題を引き起こす医師も少なくはありません。
 
 
 
加えて、現在我々が行っている医療行為の多くは、近い将来AIにとってかわられます。
私が関わる、分娩は、まだまだ先だと思いたいですが…
 
医師という職業の価値(収入や社会的地位という意味で)は、将来的に低下する可能性が高いと考えています。
 
 
 
 
最後に、給与について
10年以上勤務医として働き、決して給与が高いと感じたことはありません。
額面だけを見れば、一見比較的高いと思われますが、実際、同年代の医学部に行かなかった友人と比較し、福利厚生や年金、仕事をするために自分が負担している経費、退職金などを比べると、むしろかなり低いとさえ感じます。
*友人は、医学部に落ちた又は諦めて学部変更した人達で、受験時に同等の偏差値帯または学力を有していた人達です。
 
また、研修医時代や大学院生などは、無給または非常に安価な給与での労働が当たり前でした。
産婦人科医としての大学の当直は、時給700円以下だったと記憶しています。
 
 
 
 
 
上記より
優秀な学生が医師や研究者になるべき。
これから超高齢者社会、医療分野には優秀な人材が必要!
とりあえず医師になれば、高い給料が保証される。
などの意見は現実と乖離しているように思います。
もし上記のような理由で、お子さんに医学部を勧めている親御さんがいらっしゃれば
1度現状を把握されることをお勧めしたいです。
(このブログの数少ない読者の方には、いないでしょうが。)
 
 
 
 
優秀な学生が
もっと自分の力を伸ばせるような、教育、進学システムを構築しなければ
素晴らしい頭脳が生かされず
国益を損ねます。
 

その1点だけ見れば、アメリカの教育システムは優れているかもしれませ。
他の点で、様々な問題があるので、アメリカに倣えばよいとは思いませんが…