湊かなえ『リバース』を読んで〜「伝えること」の難しさと勇気〜



湊かなえ『リバース』を読んだ。


読後にまず感じたのは、「自分も、もう少し恥じないように生きたい」という思いだった。


人に「いいやつだった」と言われたい。


けれど実際のところ、そう胸を張って言えるほど真っすぐに生きられているだろうか。


どこかで言葉を飲み込み、思いを伝えきれずにいる自分がいる。


それはきっと誰の中にもある葛藤だと思う。


この物語は、ひとりの青年の「告白」から始まる。


親友を失った彼は、ある“誤解”の中で生き続けてきた。


その誤解をほどく鍵は、実はずっと前から彼の手の中にあった。


けれど、彼はそれを伝えなかった。


伝えなかったことで守れたものもあったが、同時に失ったものもあった。


人は思いを抱くだけでは、相手に届かない。


伝えるという行為を通して初めて、思いは現実になるのだと痛感した。


読んでいて感じたのは、「伝えることの勇気」だ。


それは、相手に理解される保証がないまま、自分をさらけ出す行為である。


だからこそ怖いし、難しい。


でも、そのままでは何も変わらない


たとえ伝えることで関係が壊れるとしても、伝えなければ何も始まらない。


主人公の不器用さや後悔は、まるで自分自身の姿のように思えた。


人は皆、「思いを持っているだけで伝えたつもり」になってしまう瞬間がある。


しかし本当に大切なのは、その思いを言葉にする努力なのだと思う。


現実は難しい。勇気もいる。


それでもなお、伝えることを恐れずにいたい。


そして、誰かの記憶の中で「いいやつだった」と思われるような生き方をしたい。


そんな思いを胸に残す物語だった。