妻と一緒に過ごせるのは最後の夜となった。
明日は、納骨に行く予定。
妻が亡くなったときは、ずっと一緒にいればいいと思っていた。
あっという間に2年がたち、思った。
自分がいなくなったら、どうなるんだろうと・・・。
うちには子供がいない。
だから、妻が粗雑に扱われる可能性があることは、許せない。
妻と仲がよかったといえば、一般的にはそうじゃない。
いわゆる仮面夫婦だった。別室で暮らし、用件はメール。
僕は朝、狩りにいき、
昼は一生懸命狩りをする。
夜はスーパーで割引のご飯、遅かったりしてスーパーにご飯が無ければコンビニで買ってきたご飯を食べてシャワーを浴びて寝る。
そして25日になったら、獲ってきた獲物をそっと置いておく。
そんな毎日をいつのころからかずっと繰り返してきた。
そんな毎日がずっと続くと勘違いしてた。
ある日、春に妻のがんがわかった。
残り時間が最初は年越しだったのに、どんどん減っていき、夏にはあと1、2か月になった。
妻が亡くなってばたばたが終わった後は、変わらない狩りの時間が続くと思ってた。
ただ獲ってきた獲物を貯めこむ毎日だったけど。。。
そんな毎日がある日止まった。
朝起きて動けなくなった。
もちろん医者には通っていて、薬をいただいていており、だいぶ調整してもらったけど、どうにもならなかったようだ。
一日目、一日休めば何とかなると思った。
二日目、同じように動けなかったので、会社に電話して「仕事を辞める」旨を伝えた・・・。
「はりねずみのジレンマ」って聞いたことがあるかな?
寒い寒い冬の日、2匹のはりねずみが体を寄せ合い、温め合おうとするんだよ。
でも、近づくと、お互いの体の針が刺さってしまい、くっつけないんだ。
そしてくっついたり、離れたり繰り返し、お互いに痛くない、少し寒さをしのげる距離を見つけることができるんだ。
でもさ、相方のはりねずみがいなくなったらどうなるんだろうね。
寒い寒い冬の中、凍えちゃわないのかな。。。
今日は一緒に過ごせる最後の日だ。最後は、一緒に過ごそうか。。。
おやすみなさい。