ミアは待ち合わせ場所に5分遅れて着いた。相手はもう来ていた。
「ごめんなさい、遅くなって」昨日は破れたズボンだったのに、今日の下山田のズボンは、きれいだ。
「オレも来たとこ」下山田の自慢の車で、2人はドライブした。
その頃、沢詩家に残ったミアの母を含む4人は、下山田のことを話していた。アイが言うには「ミア、下山田君のこと本気で好きなんだろうけど、多分、違うと思う」ただ、優しいからいい人だなあって思ってるだけだと。下山田はムサシの1つ年上である。「アイツは真面目だよな。好きな人に対しては一途だって、自分で言ってたけど」ムサシが言った。アイがいきなり「2人は今頃、危ないことしてるかもね」と。ミアの母は言った。「下山田君は真面目だし、人間的にはいい人だよね。木荒ちゃんに聞いたけど、しょっちゅう女の子取っ替え引っ替えて寝とるらしいよ。いかがわしいとこに行きおるてよ。もうそれ聞いた時、恐ろしかった」木荒ちゃんもおおだまタクシーの従業員で、50代のおじさんである。
「オレも、本人から聞いたことある」「あたしもムッちゃんから聞いとったけど、あの人、モテる顔しないもん」
「じゃ、ミア、危ないじゃん。犯されたりしたら・・・」なみが1番びっくりしていた。「ミアを汚したら、下山田君許さんけんね。うちで働きおるけんが多分、大丈夫だろうけど・・・」ミアの母は気が気でなかった。
ドライブ中のミアと下山田の車はしばらく走り、1時間くらいして下山田は車を止めた。