【今日のテーマ】
今日は9月1日ですが、ここ2日ぐらいの間に世界のメディアで、そして日本のメディアも含めて、急に突如現れた大きなニュースがあります。それが今日のテーマです。
中国の内モンゴルでモンゴル語の教育が禁止になって、そして中国語が強制される様になったという話なんです。
実はこの私のチャンネルの視聴者の中で日本にいらっしゃる在日の内モンゴル人の方がいらっしゃいまして、その方から1ヶ月ほどぐらい前でしょうか、この話を持ちかけられて、お聞きしていました。
そして9月1日、今日、中国の学校で新学期が始まる。このタイミングからモンゴル語の教育が禁止になって、中国語が強制されるんですと、いう事で、この9月1日のタイミングに合わせて、今まで色々お聞きしてきた情報をとりまとめて、今日は第一報としてお伝えしたいと思います。
8・31 Washington Post
この話既に、世界のマスコミで出始めました。これは昨日のワシントンポストの記事です。
ワシントンポストでは、『中国当局は、中国語の授業を強制したことによって、内モンゴルで広い範囲での反発に今、直面している。』➡︎抗議運動が今起きているわけです。
同じ日8/31 、NY Times です。これはモンゴル語を規制したことによって、中国で大規模な抗議運動が起きてる。まさに、ちょうど1年前に香港で起きたような状況。香港で起きたような、市民が立ち上がって抗議運動をするという、それと似たような状況が内モンゴルでここ数日で起き始めてるんです。
きっかけ
そのきっかけは、内モンゴルの小学校・中学校でモンゴル語を廃止して、中国語を代わりに強制するということなんですね。
中国の地図でこの(上)赤い部分。この部分が内モンゴルと呼ばれてる部分なんです。そして、その北側の部分が所謂、モンゴル国です。基本的にはどちらもモンゴルですが、現在は2つに分かれています。
戦後、こちらのモンゴルの方はソ連の方に付いてゆきました。内モンゴルは中国化したという事なんです。
特に内モンゴルの東側の部分は旧満州なんです。ですから、日本とは実は非常に縁のある地域の人々なんですね。
9/1 新学期
問題は9月1日から新学期なんですけど、中国語で所謂、国語、政治、歴史、その後、全ての教科を
中国語で教えるという事になったんです。
正確に言いますと、メディアの報道で言いますと、国語、政治、歴史という3つの教科が今日9/1から強制的に中国語で教えられるという話だったんですが、現地の情報を在日の方から聞くと、正確には国語だけです。
つまりモンゴル語を教える授業が、中国語を教える授業に変わるという事なんです。
政治と歴史は来年以降から順次そうなっていくという事が、正確なところらしいんですね。
これに対して、ネット上で既にいろんな動画が上がっています。現地の動画です。https://twitter.com/MongolianZayaa/status/1300028830212448258/video/1
これ、ユニフォームを着た女性たちが何と言ってるかというと『私たちの母国語は、モンゴル語だ。私たちは死ぬまでモンゴル人だ』という事を訴えています。
この動画は随分ツイッターや日本語のSNSでも出回っています。
それから、これは実際9/1から始まる教科書を大人たちが見てるんです。この新しい教科書にモンゴル語がないんです。完璧な中国語になってるという教科書なんです。https://twitter.com/teM335265581/status/1299666018298507264/video/1
音楽の教科書
それからこれは音楽の教科書。音楽は基本的にまだ中国になるはずじゃないんですが、実は教科書が中国語になっていて、理由はモンゴルの音楽をもう小学校から教えないためですね。
音楽にその民族の文化が一番繁栄されてるんですが、まずここを廃止してきてるというのは大きな意味があるわけです。
学生たちの抗議デモ
それからこういう状況に対して、学生たちが、これ多分中学生ぐらいだと思うんですけど、『モンゴル語を守ろう、モンゴル文化を守ろう』という風に、抗議のデモをやってるところです。https://twitter.com/MongolianZayaa/status/1300049656655745024/video/1
父兄たちの抗議運動
という中で、この父兄たちが今、立ち上がっています。親たちが抵抗運動をしてるんです。主にやってるのが❶署名運動。それから❷子供を学校に行かせない。9/1から新学期なんですけど、自分たちの子供を学校に行かせないということをやっています。それから❸学校の前で抗議運動をしています。
バイヌー
こういう抵抗運動をSNSで内モンゴル人の間で広めてるんですね。そのSNSがバイヌーっていう、アプリがあるんです。
これはモンゴル語のWeChatにあたるものです。
これで反対を呼びかけたり、署名を呼びかけたりしてたんですが、しかしそれが中国当局にバレて今でもバイヌーはつかえるんですが、タイムラインの部分が全部削除され、妨害されてます。
8/31 Radio Free Asia
これはアメリカのラジオ・フリー・アジアですね。アメリカの議会が運営してる、得意アジアに強いメディアですけど、ここはかなり詳しい情報を出してるんですけど、
ここで父兄たちが、どういう戦略で中国当局と、今、戦おうとしてるのかということで、2点出しています。
家庭学校
子供達を学校に送らないことを呼びかけて、その上で、家庭で授業する。それも引退した教師であったり、現役の大学生たちがボランティアの教師として教えるという制度をもう作ってしまったみたいです。
もう1点が。
モンゴル人弁護士
モンゴル人の弁護士たちが訴訟で戦うということです。というのは、これは憲法違反だからです。
どういうことかというと、中国の憲法があります。
中華人民共和国憲法
この憲法の第4条に『いずれの民族も、自己の言語・文学を使用し、発展させる自由を有し、自己の風俗習慣を保持し、又は改革する自由を有する。』
というのが明記されてるわけです。ここに『自己の言語』を使っていいことになってる。
それも中国政府が新しい法律を作ったりだとか、それも内モンゴルの自治区が、自治区の政府がそういう法律を作ったのならまだわかるんですけど、全くそういう法律を作ってないんです。
それどころか、公式な文章も何もないんです。なにも文章もなにも無い中で、ただ【口頭で、9月から、内モンゴルの言語は中国語にするんだ】と一方的にもたらされてるんですね。
これ完璧に憲法違反
中国は法治国家を謳ってますから、「憲法とか法律に基づいてやってるんだ」と、いつも国際社会で言ってますから、ここで戦うという話になってるんです。
さてここで
【何故、言語を禁止するのか?】
中国というのは、かつてのソ連のように、様々な民族の連合体で出来てるわけです。
その中で、どうして「漢民族」以外の「少数民族」と言われる、多民族の言語を禁止するのか?
本当の侵略の完成とは
そこには、中国からしてみれば、【本当の侵略】というのは、『民族の同化』にある。
【漢民族】と【漢民族以外の他民族】
これが同化する。これで本当の侵略が完成する。ことになるんです。
武力だけでは、その民族を侵略したことにならない。
その民族の同化、それはなにで行うのか?
それは言語で行うんです。
特に漢民族の場合は、【漢字と漢語】。
これが最大の武器なわけです。
これを押し付ける。これを防護にさせる。
これを以て、民族の同化、侵略が完成するという事なんですね。
中国の多民族政策
元々中国というのは、他民族の政策、他民族をどうするのかというのが、大きな課題でした。
大きく分けて、2つの選択肢がある。
自治をさせるか?
同化をさせるか?
内モンゴルにしても、ウイグルにしても、また
チベットにしても、全部自治区であったはずなんです。
しかし、それは言葉だけであって、結局、【同化】の方向に行きました。それも、それが特にひどくなったのが、習近平政権になってからです。
何故、今の、習近平政権がこんな同化の報告に強引に持っていってるのか?その背景にあるのは?
中国共産党
『ソ連崩壊の教訓』を考えているから。
そろそろ中国共産党も、ソ連の共産党と同じ末路になりそうだということを、彼らが一番感じてるわけですね。
そして彼らが、そうならないために、このソ連崩壊の時の教訓というのを学んでいます。そこにあるのは、多民族に対しての政策。自治をやらせすぎたのが、ソ連だった。
ということを考えると、もう自治をさせないで、とにかく「同化政策」に持って行くという風に完全に政策を変えたんですね。習近平政権によって。
そんな中で、ウイグルにしても香港にしても、今、大変な問題になって、習近平政権が国際社会の中で、孤立するという裏目にでてるんですけど、しかし性懲りもなく、今度は内モンゴルをターゲットにしてるわけです。
それに対して、内モンゴルの人たちは香港の人たちと同じように、今、立ち上がろうとしています。
Washington Post
先程のワシントン・ポストの記事には、ある内モンゴルの方の親の方の言葉が出ていました。
「私たちはすでに自治権を実質上失ってるんだ。私たちの生活様式もかなり奪われた。私たちに残っている内モンゴル人としてのアイデンティティは言語だけなんだ。その最後に残った“言語”を奪われるわけにはいかない」と言っています。
Radio Free Asia
また、先程ご紹介したRFAの記事の中には、
ある内モンゴル人の父親の動画の言葉が出ていました。この人は、内モンゴル人のお父さんなんですけど、この人は動画の配信でこういう言葉を言っていました。
「これがおそらく私の最後の動画発信だ」
というのは、今回の中国語で教育するというこの方針に逆らう親がいたら、「1ヶ月以内に全て逮捕するぞ」という風に既に、中国当局から脅しがかかってるわけです。
その脅しに対して、「結構だ。逮捕するなら大歓迎だ。だからこの動画がおそらく最後の動画になるだろう」と。
そして、その方はこう言っています。
(あるモンゴル人の父親の動画)
「全てのモンゴル人の親は
9月1日に子供を学校に行かせるな」
ということをこの動画を通して、訴えています。実際にどうなったか、今日、9月1日で、昼間、最初にご紹介した在日のモンゴル人の方で、このチャンネルを通して、私にコンタクトを取ってくださった方から、現地の情報を聞いたんですけど、今日の内モンゴルでの、小学校、中学校の始業式にあたる日なんですが、ほとんど生徒たちが来なかったらしいです。
学校が、ガラガラだったらしいんです。
という意味では、この戦略は今、当たってるんです。
この後、どうなるかはわかりません。こうやって、内モンゴルの人たちが抵抗運動をして、それに対して、「はい、わかりました」と言って、方針を元に戻すような、北京政府でないのは、皆よくわかってるわけです。
もしかしたら香港のようになってしまうかもしれない。それはこれからの事です。
しかし、この戦いがいよいよ、内モンゴルでも始まったという事です。
まずはこれを広く知っていただこうと思って、この動画で取り上げました。
最後に、日本国内でも在日の内モンゴルの方々が抗議デモを行います。東京と大阪です。
東京・抗議デモ
これは私にコンタクトしてくださった方が主催する抗議デモです。(詳細はここの一番下に載せておきます。)
大阪・抗議デモ
これは違う在日モンゴル人のグループの抗議デモです。ほぼ同じ日時です。
日本人の方でも参加されたいという志のある方はぜひ参加してください。
最後に
香港とウイグル問題の教訓
大きくなってから、多くの犠牲が出てから、やっと国際社会が動き始めました。
_________________________内モンゴルにおける中国語強要教育に反対する抗議デモの概要2020年9月12日(土)集合場所:さくら坂公園(六本木駅徒歩5分)集合時間:13時半 時間厳守青色をメインとする服装が望ましいスローガン:モンゴル語教育を中国語に切り替える政策に断固反対漢化教育に断固反対憲法を守ろう民族地域自治法を守ろう民族の言語、文化を守ろう注意事項:上記のスローガン以外は絶対に叫ばないことコロナ拡大防止のため全員マスク着用、距離をあけること主催 在日モンゴル族デモ実行委員会_________________________
これが大きな教訓だったと思います。
今、内モンゴルの問題が起き始めたばかりなんですね。中学生、高校生がデモをしていて、こういう若い人たちが逮捕されたりという事が、起きないように、国際社会でこの問題をウォッチして、なるべく正しい方向に行くように願いたいと思います。
今日はここまでです。ご視聴誠にありがとうございました。