HSBC【香港】 孤立化進む親中派銀行どちらにつく気だ?【及川幸久−BREAKING−】 | 幸福実現党ならばこうする

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【今日のテーマ】

今日はHSBCという香港の大手銀行の話です。この銀行、実は親中派の銀行として有名です。そして今、アメリカにつくのか、中国につくのかという二者択一を激しく迫られてると言うお話です。


アメリカの国務長官、マイク・ポンペオがこの香港の大手銀行HSBCを厳しく批判しています。
8月26日、3日前のTwitterでこう言っています。

『HSBCは“香港人の自由を弾圧して制裁を受けている者”の口座を維持し、自由を求めている人々の口座は閉じている。』

何の話かというと、本来だったら、アメリカが今、香港の国家安全法に基づいて香港の自由と民主主義を弾圧してしまった責任者→【香港政府、そして中国政府の役人たちとの取引をやってはいけない】というのが《香港自治法》です。

HSBCは、“香港の自由を弾圧して制裁を受けている者たち”の口座を、本当は閉じなきゃいけないんです。しかし逆にその口座は開いたまま、維持したままで、そして自由を求めてる人たちの口座を閉じている。


ダイヤグリーンダイヤオレンジネクストデジタルダイヤオレンジダイヤグリーン

例えば、ネクストデジタルという、これはジミー・ライという香港の大富豪であり、そして
香港の民主化運動を推し進めてきたリーダーの一人。そしてアップルデイリーという反中国、自由と民主主義を謳っている新聞を作った人です。

このジミー・ライの《ネクストデジタルという会社の口座を逆に閉じてる》んですね。➡︎これをポンペオは批判してるわけです。


ダイヤグリーンダイヤオレンジHSBCとはダイヤオレンジダイヤグリーン


本社はイギリスにあります。イギリスのロンドンにある巨大な本社ビルです。私もイギリスのロンドンの“シティ”と呼ばれる金融街で働いていました。この本社のすぐ近くにあるイギリスの投資会社で働いていたんですが、HSBCと言ったらもう巨大な銀行です。


ただこの銀行の特徴は、《本社はロンドン》なんですが【収益のほとんどは中国と香港】なんです。

中国と香港から利益を得ている会社の本社はイギリスにある銀行という非常にグローバルな会社です。


ダイヤグリーンダイヤオレンジこの話の【教訓】ダイヤオレンジダイヤグリーン

右矢印米国と中国の両方にいい顔をすると世界で孤立する。

というのがHSBCから得られる世界に向かっての教訓です。この話をじっくり見ていきたいと思います。
ポンペオのHSBCに対する批判なんですが、これは3日前に始まったわけではありません。

【6月9日、米国務省の声明】としてHSBCへの批判の声明が出ています。6/9というと、ちょうど中国政府が香港に、国家安全法を導入するということを発表し始めた頃です。

国家安全法を香港に実際に導入されたのは、7月1日からですけど、6月初めの頃に、いち早くこの国家安全法に“賛成”して、支持をしたのが、HSBCのCEOだったんです。

そのHSBCのCEOが『中国の国家安全法を支持する』と言ってることを、アメリカの国務省が批判しています。


ダイヤグリーンダイヤオレンジHSBCと中国の関係ダイヤオレンジダイヤグリーン


《このHSBCと中国はそんなに深い関係なのか?》➡︎そうなんです。

大変この関係、歴史も長いですし、そしてHSBCにとっては中国というのは大事な大事なお得意様。

しかしこの両者の関係に亀裂が入る事件が起きました。


ダイヤオレンジダイヤグリーン孟晩舟(もうばんしゅう)ダイヤグリーンダイヤオレンジ


それがこの方孟晩舟。ファーウェイの副会長です。ファーウェイの創業者で会長がこの人のお父さん。だからファーウェイの会長の娘です。そして最高財務責任者、CFOであります。

この人が2年前、カナダのバンクーバーの空港で逮捕されるという大きな事件がありました。これはカナダが逮捕したんですが、それはアメリカからの依頼を受けて逮捕した。アメリカがこの人を捕まえようとしたわけです。

ダイヤグリーンダイヤオレンジ孟晩舟逮捕のきっかけダイヤオレンジダイヤグリーン


この孟晩舟逮捕のきっかけというのは、HSBCのイランにおける制裁違反】でした。実際に違反をしてたのは、このHSBCというよりも、ファーウェイだったんです。

イランでファーウェイの代わりにやってはいけない資金移動をHSBCがやっていたんです。

それだけHSBCと中国ファーウェイというのは非常に親しい関係だったので、本当だったら、《イラン制裁》がこの時すでにされてたんですけど、❶(オバマ政権の時ですけど、)イラン制裁が既に起きていたんですが、それをかいくぐって、このHSBCが資金の移動をやっていた。
下矢印下矢印
❷これが見つかっちゃったんですね。
バレちゃったわけです。
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❸そこでHSBCはアメリカの司法省の求めに応じて孟晩舟の容疑に関する情報をアメリカに提供しました。

下矢印

❹これに中国は怒りました。

下矢印

❺中国の人民日報の英語版である、GLOBAL TIIMESがこういう風に言っています。

『孟晩舟逮捕の黒幕はHSBCだ』と。

下矢印

❻中国とHSBCは昵懇の仲だったんですが、ここで亀裂が生じたわけです。


ダイヤグリーンダイヤオレンジ8/3 NY Timesダイヤオレンジダイヤグリーン

この辺のHSBCのストーリーを、今月初めの8月3日、NY Timesが長い記事でまとめていました。

🔸HSBCというのは、中国と、そして本社はロンドンにあるわけですから、イギリス、アメリカなど西側の間のタイトロープ(tightrope)=綱渡りの綱みたいなところを、うまくやってきた。そして両方から利益を得てきた。

🔸そういう親中派の企業なんですが、そこが上手くいかなくなったという、そういう記事なんです。

ダイヤグリーンダイヤオレンジ現在の国際ビジネスダイヤオレンジダイヤグリーン

というのは、この HSBCに限らず、現在の国際ビジネスというのは、米中対立の中で、米中どちらに付くのかという選択をみんなが迫られてるわけです。

ある意味で、きし-せんめい【旗幟鮮明】=立場を明確にせよという事を要求されてるわけです。

自分の立場はどっちなんだ?と。それを鮮明にしなければ国際的にビジネスがもうできない時代になってきたわけですね。




🔹FB TWITTER Google等IT企業

例えば、FB TWITTER Google等IT企業も、国家安全法によって、香港政府から、顧客のデータを出せと要求されることがあり得るわけです。しかし、香港政府から顧客データを要求されたとしても、「それには絶対に従わない」ということを、アメリカ政府に明確に誓っています。

🔹製造業

特にアメリカの製造業は、中国にサプライチェーンがいっぱいあるわけなんですけど、アメリカ政府がこれは人権侵害であると制裁している中国のサプライチェーンに関しては一切切るという方向にみんな動いています。

🔹銀行

HSBCも入ってる「銀行協会」は、香港自治法の制裁対象になる顧客(これはいっぱいいるわけです。香港政府にも、中国政府にも)のリストを今、みんなどの銀行も作ってます。

リストを作って、その人たちがアメリカからの制裁対象になったら、その人を顧客にしておくわけにいかないということになるからです。

右差しということは、こういうITであろうと、製造業であろうと、銀行であろうと『アメリカの法律に従いなさい』と。

右差し【アメリカの法律に従う】ということは

右差し《中国の国家安全法に違反する》ということを意味するわけです。


どっちを選ぶのか?と。この両方にいい顔をするということは、もうできなくなってしまったんです。

そんな中で、

HSBCは国家安全法を支持する

という方向を選んでしまった。



ダイヤグリーンダイヤオレンジ6/6 Telegraphダイヤオレンジダイヤグリーン

このHSBCの両方にいい顔をする行動が鮮明に出たのが、6/6テレグラフという新聞の記事なんですが、

HSBCのCEOがジョンソン政権に『ファーウェイの5Gを禁止すると中国の報復がありますよ』と警告しに行ったという、そういう記事です。

どういうことかというと、ちょうどその頃、アメリカ政府のトランプ政権からイギリスのジョンソン政権は『5G・ファーウェイを止めてくれ。ファーウェイは使わないでくれ』ということを強力に言われてたんですね。『ファーウェイはスパイ企業だから、国家機密、特に軍事機密が漏れてしまうので、使わないでくれ』ということを強く言われてる頃でした。

その頃に何故か、HSBCのCEOがファーウェイの代理人のようになって、『ファーウェイの5Gを今更止めたら、中国から報復が来ますよ』と警告に行ってるわけです。


そしてその事が報道されてしまったので、この報道がイギリス国内の怒りを買い、結果的に、逆にイギリスは5Gを禁止する方向に行ってしまったわけです。

この報道が出て、イギリス国内で怒りを逆に招いてしまった事に関して、先ほどの中国のDLOBAL TIMESは6月4日すぐに、『HSBCのイギリス政府への警告はあり得ないことだし、馬鹿げている』
という風にHSBCを批判しています。


HSBCのCEOは中国とファーウェイの為に、こういう警告に行ってるんですけど、それが裏目に出てしまったので、逆に中国からも批判されたという事で、中国とポンペオの両方が非難してるのが、この銀行なんです。


ダイヤグリーンダイヤオレンジHSBCの株価ダイヤオレンジダイヤグリーン

こういう銀行がどういう風になるかというと、企業価値である株価が大きく損失を受けます。

これはHSBCの直近の株価です。


(緑の丸部分が)今33ドルです。

本来(赤丸)だったら、80ドルぐらいあって、

低くても、去年(黄色丸)、60ドルはあった。

それが、今は33ドルです。

【過去1年間でマイナス40%】

1年間で40%も下がっている、世界のメガバンクなんて他にありません。



他にも香港の銀行ですが、香港の銀行はどこも皆悪くなってるんですけど、

🔸ハンセン銀行・中国銀行香港

確かに-27.6%・-3.18%で下がってるんですが、このHSBCの-40%は破格です。

このところ、ずっと日本のネットでは親中派の銀行で業績が悪くなって破綻する破綻すると言われていたのが、ドイツ銀行。

🔸ドイツ銀行は過去1年間でプラスの26.39%なんです。ドイツ銀行は方針を変えてるんですよね。

一気に方針を変えて、CEOも変えて、業績が良くなっています。

実は世界の大銀行の中で、プラス26.39%は、世界のトップなんです。

右矢印このドイツ銀行とHSBCは非常に対照的なわけです。


ダイヤグリーンダイヤオレンジ【教訓】ダイヤオレンジダイヤグリーン

改めて、ここで得られる教訓というのは、

右矢印米国と中国の両方にいい顔をすると世界で孤立する。というのがHSBCから得られる世界に向かっての教訓です。


この教訓は日本の企業にも当てはまります。日本の企業ではまだここまで厳しく見られていませんけども、必ずこうなります。



今日はここまでです。ご視聴誠にありがとうございました。