- ウォーレン・バフェットは、市場が今回のように崩壊するのを待ちながら、3210億ドルを蓄えていたのだろう。
- この伝説的な投資家は、市場のパニック時に割安株を買うことを得意としている。
- バフェットは、より低い価格や明確な見通しを待ってから購入するかもしれないと彼の専門家たちはBusiness Insiderに話している。
ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)は「他人が恐れているときに貪欲であれ」や「金の雨が降ってきたら、指ぬきではなくバケツを出せ」といった有名な言葉を残している。この伝説的なバーゲンハンターは、株式市場が2025年4月初頭のように暴落するのを何年も待ち続けてきたが、まだ買いに出ていない可能性がある。
ドナルド・トランプ大統領(Donald Trump)がほぼすべての輸入品に関税を導入することを発表し、他国がアメリカの新たな関税に対して反発して報復的な経済措置を取ることで、株式市場が不安定になり、2025年4月3日と4日の間にS&P 500から5兆ドル(約760兆円)以上、すなわちエヌビディア(Nvidia)の時価総額の2倍以上が消失した。
バフェットの好む株のいくつかも大きく下落し、アップル(Apple)、アメリカン・エクスプレス(American Express)、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)、オクシデンタル・ペトロリアム(Occidental Petroleum)の株価は、2日間でいずれも15%以上下落した。
完璧なタイミングで株を手放したウォーレン・バフェットに、ネットは称賛の嵐 | Business Insider Japan
バフェットの長年の秘書であるデビー・ボサネク(Debbie Bosanek)はBusiness Insiderに次のように述べた。
「バフェットはインタビューを行っていないが、代わりに2025年5月3日に開催されるバークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)の年次総会前の質疑応答セッションでコメントをする予定だ」
この下降は、バークシャー・ハサウェイのCEOであるバフェットを励ます可能性が高い。なぜなら、彼はバリュー投資家であり、企業の実際の価値よりも割安で企業を購入することを重視しているからだ。また、バフェットは危機を利用することでも知られており、例えば2008年から2009年にかけて、5件の取引で260億ドル(約3兆8141億円)を投入したことがある。
バフェットは2017年の株主への手紙の中で、株価が急落する時期には「並外れた投資のチャンス」が生まれると述べている。そのチャンスをつかむためには、作家ラドヤード・キップリング(Rudyard Kipling)の言葉「周りが冷静さを失っているときに、あなた自身は冷静さを保て」という教えを守ることが重要だと強調している。
しかし近年では急激に高騰した株価によって、バフェットは株式の購入や企業の買収、さらには自社株買いにさえも手が出せない状況になっている。
94歳のバフェットは、過去2年間で純額1580億ドル(約23兆円)の株式を売却した。また、バークシャー・ハサウェイの現金残高は、2022年9月時点には1100億ドル(16兆円)未満だったのが2024年末には3210億ドル(約47兆円)にほぼ3倍に膨れ上がった。これはコカ・コーラ(Coca-Cola)の時価総額を上回る金額だ。
満杯の軍資金を手にしたバフェットは、市場の暴落に乗じて安く株を買い込む準備が整っているように見える。ネットでもその見方が広まっており、ソーシャルメディアには市場が混乱している中で、バフェットが安泰な位置にいるというコメントやミームが溢れている。
ウォール街もバフェットの現金積み立てを評価している。2025年、バークシャー・ハサウェイの株価は約9%上昇しているが、一方でS&P500は約14%下がっている。
2025年4月3日の終値の時点で、株価の急騰によりバフェットの個人資産は230億ドル(約3兆3622億円)増加し、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(Moët Hennessy Louis Vuitton:LVMH)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)やオラクル(Oracle)のラリー・エリソン(Larry Ellison)を抜いて、ブルームバーグ・ビリオネアーズ・インデックス(Bloomberg Billionaires Index)で4位にランクインした。
しかし、非常に忍耐強く規律を守ることで有名な投資家であるバフェットは、買い物を始める前にさらに長く待つかもしれない。
「価格が下がると、バフェットは購入を検討するだろう。その企業に新たな恒久的な損害が生じ、その損害が価格の割引よりも大きいと判断しない限りは」とスティーブン・チェック(Steven Check)はBusiness Insiderに語った。チェックは、チェック・キャピタル・マネジメント(Check Capital Management)のCEOとして20億ドル(2923億円)の資産を運用しており、1996年から毎年開催されるバークシャーの株主総会には欠かさず出席している。
株価は以前よりも安くなっているかもしれないが、チェックはバフェットが「大きな購入を行うには、さらに大きな下落が必要だろう」と話している。