利用者優先か、それとも職員を守るのか。 | 介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

世間の介護事情や認知症介護についてあれこれ言いあう場。政府だけに頼らず手っ取り早く現場を変えられるのは介護職員です。

他のフロアの職員が身体的不調で退職になりました。
人員が足らなく、男でもあるその職員が、一手に重労働を背負い、体と心を壊してしまったようです。

元々女性職員たちも腰痛で悩み、夜勤に多く入れなかったことも大きな理由だそうです。
なのでその男性職員が一手に夜勤を背負い、また重労働な仕事も行なっていたのが、大きな原因なのかもしれません。


私の施設では各フロアによってケアに対する考え方が異なります。
そのフロアでは人員が足りていなくてもケアの質は落とさず、少ない人員でありながらも、とにかく利用者優先で頑張っていました。
そうなると職員一人にかかる負担は増す訳なので、この様な事が起きても不思議ではありません。





私のフロアでは利用者優先とまでは行かず、職員がいかに負担がかからないようにするか……
状況によってはケアの質を落とすことも行なっています。
勿論、利用者に精神的な苦痛や身体的な疾病の恐れが大きくなると判断すれば、利用者個別に、ケアの質を落とさないように配慮しています。

ですが一旦ケアの質を落とし、職員の業務軽減だけを行うと、いざケアの質を上げようと言っても、なかなかそれを実行に移せなくなってしまいます。
楽を覚えてしまうんですよね…………
今では管理職が眼を光らせていないと必要以上にケアの質が知らず知らずに落ちっていってしまいます。

利用者の生活も守るが、職員の体も守る……
てか、そんなに上手く両立なんて出来ないのです。




自分としてもケアの質を落とすことは賛成ではありません。
でもそれをしなければ職員の体や心を守ることができませんから……



矛盾だらけの高齢者介護。
「利用者一人ひとり、その人らしく生活できるケア」と、うたわれた老人介護ですが、政府の政策が施設経営を縛るばかりで、いつまで経っても我々の仕事は報われないままです。




各フロアに、たった一人でも職員が増えれば介護の質が上がるのに、それが許されない私の施設の話でした。