ナースコール連打という現実。 | 介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

介護職員の本音 「認知症介護を楽しく乗り切ろう」

世間の介護事情や認知症介護についてあれこれ言いあう場。政府だけに頼らず手っ取り早く現場を変えられるのは介護職員です。

特別養護老人ホームで職員の男が入所者に暴行で逮捕

神戸市の特別養護老人ホームで、職員の男が入所者に暴行したとして逮捕されました。
逮捕されたのは、神戸市の介護施設職員で働く、介護福祉士(24)です。容疑者は、宿直勤務だった2月4日夜、入所者の女性(76)の部屋を訪れた際、女性の口元をつかんで全治2週間のけがをさせた疑いが持たれています。警察の調べに対し「夜中に2時間くらいナースコールが鳴りっぱなしだったのでイライラした」「右手であごあたりをつかんでベッドに押しつけたことに間違いない」と容疑を認めているということです。施設側は今後、再発防止に努めたいとしています。


ネットニュース一部抜粋



ナースコールの連打…
ナースコールが認識できない認知症の人、あるあるの事例ですね。
使い方やナースコールの目的がわからない認知症の人はこのような事がよく起こります。


恥ずかしい話ですが、これに似た事がうちの施設でも起こりました。
もう何年も前のことで、他のフロアで起こった事例ですが。(一般棟)

一般棟では全てのベットにナースコールが設置されています。
ですがその時は認知症棟が満床で、仕方なく一般棟の入所になったようです。
また認知症状も軽度で、ある程度の認識は保たれているとケアマネも判断したのでしょう。


ですが、いざ蓋を開けると夜間の様子が激変。
ナースコール連打で他の利用者のコールが拾えないほどだったらしいです。
(一時間以上は連打が続いていたらしい)
職員が居室に行くと利用者さんはベットで目を瞑っているだけ、動く様子も無く、只々コールを握りしめていたと言っていました。

流石に職員もその利用者さんだけに対応できるはずも無く、ナースコール無視という行動をとってしまったようです。
身体症状としては立ち上がり、起き上がりができない利用者さんだったらしいので、それ以上の事は起こらないと思ってしまったのでしょう。


ですがコールが鳴らなくなり、気になった職員が訪室すると、ベットから転落……
大腿骨頸部骨折という事故になってしまったのでした。



確かにその日に担当していた職員の落ち度は大きいでしょう。
ナースコールの認識が出来ないならば、一旦離床してフロアで過ごしてもらう方法もあったはず………
でも職員の話では車椅子で徘徊するので、その選択はしなかったと言っていました。

またベット下に転落マットを設置するという方法もあったかもしれません。
ですが立ち上がりや起き上がりができないと聞いていたので、入所の時にはその指示がされなかったようです。

結果的に身体的虐待にはあたらないもの、コールを無視するのは、精神的虐待にあたるので、とってはいけない行動です。


本来認知症棟だってナースコールの設置は義務付けられています。
ですがうちの場合、あらかじめ認知症棟でのナースコールは設置できないと説明の上、家族に承諾を得て外させてもらっています。

でもそんな施設ばかりじゃないですよね………
コール頻回になれば誰だってストレスは相当なものです。
まして御世話する利用者は一人だけでは無いのですから。
今回ニュースになった職員の擁護はできませんが、実際その現場にいない者は、いくらでも非難を言えるでしょう。

でもそれだけじゃ済まさせない夜間帯の現場は、一言では説明できないくらい過酷なものです。



今後このような事件が起きない事を望むしかありません。