複雑な想いを抱く。

 様々な方面に言えば言うほどただひたすらに「もったいないよね」と。

 自分でもそう思う。

 こうして今自分が得ることの出来た知識や技術。

 それを使いながら創ることの出来た関係や能力。

 総てが無駄になるとは思わないが、確かに勿体無いとは思う。

 今いる世界の中でこのまま自分らしくいればきっと。

 トップになれるだろうし、もはや誰にも負けない自信だってある。

 でもそれは。

 すごく狭い世界でのお話に過ぎない。

 望むのは、臨むのは、そんな世界ではない。

 もっと広く、もっと深く、もっと心揺れる世界。

 現実を捉えながら、現実を超えたような、想像以上の創造の世界。

 はじまりの一歩は踏み出し、それから止まっていた。

 次の一歩が始り、助走に使える距離は、あと数歩分しかない。

 あと数歩、やるべきことは見えている。

 見失わない、こと。

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 マンガの話。

 3月のライオンの新刊を読む。

 これまでの3巻に比べて、幾分空気が軽い。正直なところ、あまりこのマンガにその軽い空気を望んでいるでもない。もっと重く、鋭く、鈍い空気を望んでいる。

 そして詩的な世界。

 マンガや小説は、下らないものかもしれない。

 見ようによっては堕落的で、刹那的で、もしかしたら逃避的かもしれない。

 でも、これほどまでに。

 明確に、そして細分化されたその個人の思考や意識を感じることが出来るものは、そうない。

 絵や写真や、洋服や雑貨や、料理やその他のモノも、それぞれを生み出す人間の思考や意識は感じるけれど、それは幾らか抽象性が高く、漠然とした何かが多くなる。

 けれどマンガや小説は、具体性が姿を現し、特徴的な何かが多くなる。

 だから、読む。

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 DIGAWELの話。

 2店目のオープンも相まって、めっきり様々な場所で話題や人気をかっさらっている。一時期のようなバブルではなく、それほど気持ち悪くない盛り上がり方なのは、すごく嬉しいし良いコトだよなぁと思う。

 コットン×リヨセルのジャケットがちょっと気になる。素材がどうこうというよりも、あのジャケットのパターンがとても心惹かれるものがある。

 持ち手がカラフルな編みのトートが気になる。持ち手を作っている人を聞いて「あれまぁ」とか思うが、それはそれとして。ボディの白いトートを見て、初めのころのトートを思い出す。

 半袖の前ギンガムシャツが気になる。こういうバランス感覚がきっと、DIGAWELらしさなようにも思える。前身頃を全部切り替えるでもなく、スクエアに残し、ステッチに甘さを加える。「半袖シャツとはどういうものなのか」ということに対する、ある種のアンサー。

 春夏はそんなところで、ひと段落が付きそうに感じる。

 しかしこう、オープンしてから4年、随分買ってきたね、と思ってしまう。一体幾ら落としているのやら、考えるとちょっと引きそうになる。

 白シャツだけでも15枚くらい(ん…もっとあるなコレ)あるし、他の生地も加えると言わずもがな。

 なんだかんだでパンツも片手以上にあるし、ミドルウェアやアウターもシャツ同様。

 小物も同じようにあり、一週間を振り返ると、どこかの日で必ずDIGAWELを着ている。

 だからどうというでもないけれど、一つの時間軸を創ってくれた。

 良くも悪くも、それ以外の何かを教えられた。

 それにしても、どうしてDIGAWELを好きな人が周りにいないんだろう。

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 何かが書きたいと思うのに、どうやら巧く書けない。

 まぁ、明日になればまた何かが変わる。     arlequin