物事にはきっかけというものがあって、そこから急にパンドラの箱をあけてしまったがごとく、はまりにはまってしまうということがある。

 僕にとってはギター(とりわけ作曲)がそうだし、洋服や雑貨、あるいはコーヒーもそうだ。

 そのパンドラの箱というのは、そうそう沢山転がっているわけではなく、蓋もかなり固くて簡単には開けられないんだけれども。

 いざ開けてしまうと、大変なことになるものです。

 ちなみに、ここ数年で開けた箱は「食器(とりわけカップやグラスや陶器)」なのですが。

 案の定、波に乗りに乗って、今年はどれだけそのジャンルに散財をしてしまったか。気がつけばカップを持ち、気がつけば陶芸展に見入っているという、なんとも危ない若者でした。

 正直、ガラスや北欧モノはまだ良いのだけれど、日本の陶芸モノとなると僕くらいの年齢でじっくり見て、何気に買ってみて、ニヤニヤして、「この作家さんのモノが入ったら…」なんてしている人は、そういない。というか、そんな風にしている時にオジサンやおばあちゃん以外の人と会ったことすら無いもの。店員を除いてね。

 で、その「食器」と刻印された箱からは、未だに夢やら希望やらの明るいものから、嫉妬や欲望という気持ち悪いものまで、どんどん出てきているのです。

 それなのに。


 また、新しいパンドラの箱に、僕は手をかけてしまったみたいです。

 バセロンを買おうとしてから、あるいは買ってから、時計熱がヒドイのです。

 買ったばかりだというのに、既に欲しい時計が3つ4つ出てきてしまいました。どうすればよいのだろう。

 しかもこれまでの箱とは違い、単価がシャレになってないだけに困りますね。そういえば、つい先日はギターの箱の蓋をまた開ける寸前だったのでした。

 それでもギターの箱はかろうじて開けずに済み(というのも、ある意味での理想のギターが既にあり、それに出会うまではたぶん開けずに我慢できる。……あぁ、カオルギター、どこかでお見かけできないものかしら)、時計を買ったんですけどね。

 ふむぅ。とりあえず半年後くらいには、うまく好きな個体に出会えれば欲しいアンティークがある。それとは別にやっぱり欲しい憧れがあり、水に強いダイバーズ系が必要であり、クロノグラフは好きじゃないし必要ないけど、ちょっと多針でゴテリンとしたのも悪くない。

 って、それだけで合わせるとどうなんのよ。

 ふふ、15、90、40、40ってとこなのかしら。いやいや、無理だって。

 気の長い箱だなぁ、この箱は。

 ま、ひとまずはアンティークとダイバーズだな。これくらいなら、なんとかなりそうだし。

 ダイバーズ、どこのが良いかなぁ……。     arlequin