ピアノを自在に(そりゃあ勿論程度の差はあっても)弾ける人が、すごく好きだ。ジャズっぽくてもクラシックでも、あるいはポップにでもいいんだけど。
それはきっと、自分の手では絶対に出来ないことだと分かっているからだろう。僕に弾けるのはギターが限界だ。しかも、いわゆるクラシック的やジャズ的なものでなく、ポップな。
羨ましいのだと思う。ピアノは、すごく表情が豊かだ。悲しくもなるし、愉しくもなるし、情熱的にも、叙情的にもなれる。
そして、弾いている姿、とりわけ指の動きが好きだ。
僕もあんな風に、長く、しなやかに、綺麗な指であったらと思う。
だから出来るだけ、手に関する動きだけは常に、意識を傾けている。なるべく、しなやかにいられるように。
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コーヒーの豆を切らしてしまう、なんてことだ。「あうぅ……豆がないよぉ」と謎の呻き声をあげながら、何を飲もうか模索する。
紅茶。悪くないんだけれど、気分じゃない。ミルク。素敵だけれど、愉しくない。煎茶。美味しいんだけれど、コーヒーを前提に意識が準備されたから、物足りない。
そんなところに、転がってきた、昨日仕入れた缶。「こ、これだ!!」
静岡のスッキリとした緑茶をベースに、カシスの香りがフレーバーとしてついています。実際に実も入ってるのが素敵。まるで紅茶のような、煎茶でございます。
なんで気分にピッタリなんだろう。嬉々として淹れる。
「うわ、おいしいー」とついつい笑顔になる。なんだろうなぁ、毎日飲みたいっていう感じでもないんだけど、何日かに一回は飲みたくなるような。
お茶なんだけど、カシスで。紅茶っぽいんだけど、でも確かに煎茶で。不思議な感覚。いや、これいいねぇ。おちゃらかがもの凄い人気なのが、分かる。
おちゃらかの中でお茶を飲みたいとは残念ながら思わないんだけど(狭いから)、茶葉は良いなぁと思う。そしてオリジナルの湯のみとかも案外素敵なのよなぁ。
あー、カシス良いわぁ。
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賞味期限、と呟く。あらゆる飲み物では、やはり鮮度が大切になる。一番はコーヒーだけど、紅茶でも煎茶でも、やっぱり新鮮なほうが美味しいし、賞味期限は切らしたくない。
でも、いろんな種類を置いておきたいし、サーブしたい。
あぁ、ジレンマ。
店ならまだしも、家では一日に飲んだところで3種類が限界でしょう。普通は1種類だろうし。
そう考えると、それぞれに数種類手を染めていると、回せないんですよね。
でも、揃えておきたい。
うぅ、ジレンマ。
って。
なんて贅沢なジレンマなんだろう。 arlequin