「今ここでは、熱意の先には失望があり、次に絶望か怒りがあり、その次には前にこなかったどちらかがあり、最後に残るのは無だよ」と、そんなことを言われたのはいつのことか。




 よく分かる。すごく、よく分かる。このハイペースで色々な嫌な部分や、吐き気がするほどに下らない部分ばかりが見えてしまうと、何があったもんでもない。




 理解が出来ないことが多い。それはもしかしたら僕がズレているのかもしれないけれど、いずれにせよ感覚が掴めない。まぁ、僕がズレているとしたならば、僕は一生ズレたままでいい。そちら側になんて、行きたくもない。




 とりあえず考えていた計画はもとより、もっとピッチを上げて動かなければいけないのかな、と思う。




 自分が腐りきってしまう前に。腐りきった誰かを見ないように。




 それにしても。自分はともかくとして、理不尽に傷つけられたり悲しみに落とされたりするのを見るのは、本当に辛い。それが誰であろうと、だ。




 もう、そんなのは見たくない。




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 今日は気になることの雑記。




・「生地」




 生地が好きなんだな、と思う。コットンにせよ麻にせよウールにせよ化繊にせよ。服を素敵だな、と思う基準の多くは生地によるところであるし、単純に生地そのものを見ていても全く飽きない。




 生地を勉強するにはどうするべきか、と考える。日暮里を歩いて片っ端から生地を見るのは勿論だけれど、より大系的というか理論的な部分と、実際の製品を絡めて。




 たとえば、縦糸と横糸の比率をどう変えていけばどのような風合いになり、どんな色構成を使えばどんな色に仕上がるのか。そもそもの糸の撚りを変えることにより、いかなる変化を生地上にもたらすことが出来るか。生地の油分と洗いの関係性や、織りの工夫の仕方。




 挙げていけばキリはないのだけれど、そういうのを見て触って勉強したいこの頃。休みの日を使ってでも、勉強できるなら何処まででも行きたいと思う。




 それと同じように、幾つかがある。生地のほかに、陶芸(磁器を含む)、ニット(これも生地か)、レザー、紙、金属……思えば、素材やその素材を感じられる事柄をとにかく知りたいのだ。




 これから休みの日は、そういう風に使ってみよう。ちょっと面白いかもしれない。






・「写真」




 写真が好きだろうか、と考える。おそらく確定的に、好きだとは思う。しかしながら、僕の中での好きは、かなり限定された意味なのかもしれない。




 自分が写真を撮る側の人間だとは全く思わない。構図的なセンスもなければ、そういう意味での色彩感覚もズレていると思う。加えて決定的なのは、「撮っている暇があったら、その時の景色や音や香りや感覚を、ひたすらに記憶したい」と思ってしまうのだ。




 きっとその記憶の一部、あるいは代わりとして写真は存在するのであろうが、僕の場合はあまり代わりにならない。頭の中の記憶のほうが、数十倍リアルであり、様々なものを喚起するからだ。




 写真を見ることが非常に好きだと言える。人の撮った写真は、つまるところそのときの感覚の一部であり、記憶の一部だと思うからだ。生業にしている人であれば、なお更そういう意味での表現が上手い。




 力のある写真を見ていると、妙な気分になる。まるで自分がその地にいて、その景色を目の前にしているような。その物質が目の前に広がっているような。




 それは写真のみならず、絵画などでも言えることで。




 僕は美術的な知識も、写真的な知識も、いわゆる美的知識なんてものは無いけれど、そんなものは関係なく見るのが好きだ。




 言う人からすれば、「何も知らずに、何を語れるものか。よさなど分かるものか」となるのだろうと思う。でも、分かるんだからしょうがない。そういうのって本来は、知識的なもんじゃないと思うし。




 見たい写真集が、見つからない。何処にいったんだろう。いちじくの写真が、すごく素敵だったんだ。






・「雑誌」




 久方ぶりに、メンズノンノを買ってみた。読んでいる間に、目が回った。そして、服が嫌いになりそうになった。それは誰のせいでもないのかもしれないけれど、今のこの世代の子たちはかわいそうだな、と思ってしまった。




 明らかに、面白くない。経費がかけられないからだとは思うんだけど、スタイリストブランドや宣伝目的のページばかりで構成され、いわゆる雑誌としてのアイデンティティが感じられない。街を歩いているほうが、数倍面白い。




 かといってカタログ的な良さがあるかと言えば、それもまた違う。それぞれの特集がいかにも中途半端で、とりあえず集めるだけ集めてみたんですけど、みたいな空気が否めない。




 素人が何をいうか、という話だけれど、実際に読むのは素人なんだから素人が楽しめなくてどうするか、と。




 しかも玄人が今の雑誌たちを見て、何かを思わないのだとしたら、そもそも業界自体がいかがなもんかと思う。玄人って何かね、と。




 とはいえ、素敵な雑誌もゴロゴロしているので、差が激しいだけなのかもしれない。いずれにしても、メンズファッション誌は厳しいなぁ、本当に。




 雑誌、というスタイルがもうメンズファッションには限界なのかもしれないなぁ。ムックスタイルか、あるいは完全に文化誌にしないと。まぁ、コストがかかるから、どこもやらないんだろうな。






・「会いたい」




 会いたい人が数人いる。








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 最近僕は、愚痴ばかり言っている気がする。言う側も気分が良いものではない。けれど言わないことには、納得させることすら出来ない。




 ちょっと、人間不信になりそうだよね。     arlequin