ダンディゾンのパンは確かに美味しい。工夫もされているし、それぞれの材料の味も良くするし、しっかり作られてるよなぁと思う。
けれど、パーラーのパンのほうが美味しいのは、どうしてだろう。好みといわれればそれまでだけれど。ツォップの系統が好きなのかって話にはなりそうだけれど。
でも思うに。
どれだけ何かそのものが美味しかろうと、それを食べるときの心理状況や、あるいは環境によって大きく味は左右されてしまう。味覚なんて、そんなもんだ。もの凄く悲しいのに、食べ物は美味しいなんてこともあるけれど。
いつ食べるのか、何処で食べるのか、そして誰と食べるのか。
そういうことだ。
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今日はテンションが上がる一瞬があった。それも二回。
僕が銀座で働いているというのは、いつぞやついチラッと言ってしまったのだけれど。その銀座に、僕の好きなお店が移転してきたんですね。craftさんが。
表参道で北欧モノやヴィンテージの草分けとして台頭し、青山や中目黒を経て、今度は銀座へ。いやー、素晴らしいな。名前はcraft oneに変わり、それほど広くない店内にところ狭しとモノが並ぶ。ヴィンテージよりも、それに合う現代のモノが多くなっています。
この間訪問したところ、やはり欲しいモノが幾つもあって大変だったんですが……。僕の中でcraftさんで欠かせない存在があって。ずっとずっと前に買って、ずっとずっとお気に入りで。
始めは店内に無かったんですけれど、「まだアレは残っているのですか?」と訪ねると、「まだ少し残ってますよ、コッチに持ってきたら連絡します」とのこと。なんと、嬉しかったことか。
craftさんがニッコーに別注した、ボーンチャイナ。スタッキングカップになってます。潔い白、シンプルで美しい形、可愛い佇まい。
このカップが、僕はとてもとても好きなんです。数あるカップの中でも一等好きの部類に入ります。もうあの頃とは違います。幾つも買えないなんて、学生ではないのです。
十分にスタッキングできるように、買い足し。箱入りの新品と、運良く「ケータリングに一回使ったモノなんですけど」ってことで、半額のカップたちがズラズラーっと。あぁ、なんてこった。このカップが半額なんて、奇跡的におトクじゃないか。
ということで全部でとりあえず4つ買い足しました。えーと、たぶん、まだまだ少しずつ買い足すと思います。それくらい、僕の中で定番で置いておきたいカップなんです。
はっきり言って、不便なポイントも多い。熱いモノを淹れると、すんごく熱くなって持つトコロに困るし。大きさだって、さほど大きくないからあんまり入らないし。それでも。
裏のボツボツや、このスタッキング具合を見ると、グゥのねも出ない。なんて綺麗にスタッキングできるんだろう。なんて完成されてるんだろう。
ボーンチャイナが好きな方は、一度ご覧になってみてください。すごく素敵だから。
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人は変わるものだ、と思う。でも同時に、変われないものだ、とも思う。たぶん、どちらも正しい。人は変わるし、変わらないのだ。
それはともかく。
人は人との繋がりの中で何かを知り、人は人との繋がりの中で何かを得るように思う。
そんなことを、ふと考える。 arlequin