何をどうしたいのか。本当は何を望んでいるのか。思えば目をそらしている気がする。




 考えれば考えるほど、僕は表面上とは違うことを心の底では望んでいるように思える。




 それは、誰がどうとか、どれがどうとか、そんなことはともかく、本質的なことを「本当は分かっている」からだ。




 もうすぐ5月が終る。




 何かが終るということは、何かが始まるということだ。僕はずっとそう思っている。




 さよならを言うことは、少しだけ死ぬことだ。




 チャンドラーも巧いことを言うもんだ。




 でも僕は思う。




 さよならを言うことは、多くを生きるということだ。




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 さてと、今日はいろんな更新をしたいと思ったり。すごく長くなります。ひとまずモノ。




 骨董通りのBLACKとは別の企画で、「手ごろなお値段で、黒と白をベースにカッコイイ服を作る」という前提で出来た1年半限定のブランド、BLACK comme des garcons(以下、ブラック)。渋谷のパルコで6月から展開されますが、その前に伊勢丹にお目見え。




 価格は確かにお手ごろ。プレイと同じくらいか、ほんの少し高いかくらい。Tシャツは6千円くらいだし、シャツも1万円台。ラインナップとしては、Tシャツ、シャツ(各種)、サルエルやエステル縮のジャケットやショートパンツやらバッグやらもろもろ。ドットもあったりしますが、基本は無地。そしてほとんどが白と黒。




 まぁ、エステル縮は型も幾つかあるし、トクですよね。基本的にはコムコムのサイズ展開と同じようなサイズ感でほとんどを作っているそうな。つまり、基本的にはレディス。ただ、Lサイズまであるのがほとんどなので、男子はMかLならいけます、無論。




C O H-WHITE


 白シャツ。潔い白シャツ。角襟。丸襟もありましたが、ここは角襟。基本的にはレディスの形なんですよね、裾とか。まぁ、でもそれが丁度良い。サイズはM。コムコムの具合よりも、幾分袖と丈が長めですね、設定。




 生地は綺麗なブロード。まぁ、コムコムや本ライン、メンズの各ラインに比べると、生地は少し粗いですが、一般的に見れば十分に綺麗なブロード。プレイよりは、ハリがある。




 ボタンは5つ。この辺はレディスですね、やはり。ピシッとしたいときに、着る。




C O H-BLACK


 ブラックってラインなんだから、ブラックも。案外、ブラックのシャツって枚数持ってないのですが、これはかなり気に入りました。ラインと色合いのバランスが良い。ボタンもあわせて黒蝶なのも良い。やはりサイズはM。




 って、またシャツばっかり買ってる(笑)。なんでしょうねー、病気でしょうか。




 しかも6月終わり辺りには、また少し気になる入荷があるとのこと。たぶん、というか明らかに絶対買うんだろうなぁ……だって、アレだもの。




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 家人の皆々様が、冠婚葬祭的なもので家を出払っています。いやー、一人。いざ何人も普段はいる空間に、ずっと一人だと妙な心持ちにはなります。




 というか、今は純粋に人恋しいだけかもしれない。




 さてと、次は雑記1。




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 ・文章や言葉について、考える。果たして、世の中には長い文章、センテンスというものは必要なのだろうか。それは道徳的や娯楽的にではなく、純粋に必要性の問題として。たとえ、センテンスの数が少なく、ほとんどぶっきらぼうのようにも思える言葉であろうと、心を捉えることがある。そして、センテンスの数が多く、いかにも優しく素晴らしいように思える言葉であろうと、全く心に響かないことがある。




 それはきっと。本当は、長い何かは必要がないということだ。長い何かではなく、短く少ない何かで十分なのだ。そこに必要なのは本来、タイミングのようなものであり、込められた感情のようなものであり、あるいは染み出てくるオーラのようなものだ。




 僕はこのところ、そんなことを強く思う。「ありがとう」という言葉一つと取ってみても、その意味合いはいかようにも変えられるはずだ。感謝の念を伝えることも出来るし、友情を認識することも出来る。好意を示すことも出来れば、尊敬を表すことも出来る。逆もそうだ。軽蔑を伝えることも出来るし、友情を引きちぎることも出来る。嫌悪を示すことも出来れば、侮辱を提示することも出来る。




 そういうことだ。




 単語でも少ないセンテンスの言葉でも、文章でも。それぞれにはいかようにも意味を込めることができ、またいかようにも意味を受け取ることが出来る。




 たとえそこに疑問符が存在しなくとも、確かに疑問であると認識が出来るように。




 紙一重だと思う。捉える側としてもいかようにも捉えられるということは、捉え間違われることもあるということだ。だからこそ、僕らはセンテンスを増やし、長い何かを作り出そうとするのかもしれない。多さや長さで、その間違いが起こらないように、予防線を幾重にも張り続ける。




 僕は思う。最低限のことで、総てを伝えることが出来ればどれだけ素晴らしいだろう。




 逆説的に言えば、そういう関係性こそ、本当に欲しいものなのだ。






 ・宗教について、考える。僕は完全たる無宗教だ。それは神や仏を信じるかどうかや、祈りや信仰をどう思うかなどというのは関係ない。ただひたすらに、「宗教」というものが僕には必要がないからだ。




 無宗教だからといって、何もしないわけではない。僕は死んだおじいさんに毎朝水をあげ、毎朝手を合わせる。おばあさんに対しても同じだ。そして、誰よりも僕を大切にしてくれたおじさんにも。けれどそこには、宗教的意味合いはゼロに等しい。ただ僕は「おじいさんやおばあさんや、おじさんに感謝し、今日も幸せに過ごせるように」と思うだけだ。




 無責任なこともしょっちゅう思う。神様がいるなら、なんて祈ったりだってする。でも神様が本当にどうにかしてくれるなんて思わない。ただそれは、自分自身の考えをまとめているに過ぎない。




 宗教の問題について、こんな風に語るのは極めてキケンだ。僕の周りの誰がどんな宗教を信仰しているかなんてわからないし、どこかで疎まれるかもしれない。でも、書く。




 僕は「宗教によって人や世界が救われる」なんて露ほどにも思わない。むしろ、逆だと思っている。「宗教があるからこそ、人や世界は救われないんだ」と。




 世界のいざこざのほとんどは、結局は宗教争いだ。なんて下らないんだろう。




 もしも本当に神や仏がいたとして、祈ることや信仰することで救いが訪れるとしたなら、どうして世界はこんなに混沌としているのだろう。どうして神を信じて懸命に祈る子供がどんどん死に行くのに、僕は生きているのだろう。どうして信仰をやまない人が悲しい涙を流すのに、僕は笑っているんだろう。




 そもそも、祈りや信仰がなければ救いを差し伸べない時点で、そんなものは神様なんかじゃない。宗教においては「見返りを求めるのはおかしい」とよく言うけれど、その神様自体が「祈りや信仰」という先の見返りを求めている。




 まぁ、そういう論議はどうだっていいかもしれない。重要なことは、宗教の扱い方だ。




 僕は無宗教だけれど、人が宗教を信じているのを批判する気はない、さらさらない。それでその人が救われているなら自由にすればいい。ただ、「どうしてだろう」とは思う。




 言うなれば、宗教は道具だ。自分が生きている中で巧く使えばいい。巧く付き合えばいい。人に勧める必要もない。広げる必要もない。ましてや、縛られる必要もない。そのために生きるなんて、もってのほかだ。




 きっと皆が同じ宗教になれば、平和じゃないかという理論かもしれない。だったら、皆が無宗教になればいい。勝手に各々が信じる何かがあればいい。




 随分と散漫に書いているけれど、考えていることは一つだ。




 僕はただ、笑いたいだけだ。






 ・夢と現実について、考える。人はしばしば、夢を追う。そして多くの場合は夢は単なる夢として捉え、最終的には夢だからのヒトコトで片付ける。夢を現実に変えようとする作業はしない。




 無論、夢を現実に変える作業は易しいものではない。安全なものでもない。そこには膨大なリスクが伴い、数え切れない傷を負うことにもなるかもしれない。




 僕はある程度、公言している夢があるけれど、本当のところそれは夢ではない。いや、正確に言えば、それは夢の一部、あるいは手段でしかない。あくまでも本当の夢はもっと奥のほうにあり、もっと大きな(見方によっては小さな)ところにある。




 僕は、青いのだろうか?




 青すぎるのだろうか?




 そうかもしれない。




 でも僕は思う。青さを失った生活なんて、何が楽しいのだろう。






 ・考える。僕が望んでいることについて、考える。僕はたぶん、まだまだ心は変わっていない。もしかしたら、ずっと変わらないまま、それは残り続けるのかもしれない。表に出るかはともかくとして。




 でも、心の底では、違うことを考えている僕がいる。




 やはり僕は、望んでいない。根本的な何かが変わることがない限り、僕はそれを望んでいない。




 そして、その根本的な何かが変わることは起こりえないことを、僕は分かっている。経験上でも、実質的にも。




 僕には、何も出来ない。現実として何も出来ないだけでなく、何かをする選択肢もない。




 僕はただ、待つだけだ。根本的な何かはともかくとして、僕は僕自身がある種の悲しさに包まれるのを待つしかない。僕が悲しむべきで、僕が痛むべきだからだ。




 それはつまるところ、僕の心が変わっていないからだとは思う。僕でない誰かが悲しむのはイヤだし、痛むのもイヤだ。それなら一方的に僕だけがそうなればいい。それでいい。




 だからこそ、僕にはやはり何も出来ない。否、僕には何かをする資格がない。




 そろそろ、疲れてくる。根本的な何かがないような、そんな生活を送りたくなってくる。




 総てを伝えられたら、と思う。総てを分かりあえたら、と思う。でもそれは不可能なことも、分かっている。




 僕はただ、僕の中で、叫ぶしかない。






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 長いなぁ、ウダウダと。えーと次から雑記2




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 ・「空白」




 「……田橋、飯田橋……」




 機械的な声が聴こえる。空気の振動としての塊りが、耳をつんざく。うるさい、と僕は思う。ボリュームの調整が間違っている。音の端々が割れていて、音の後にはノイズが入り混じっている。




 何故だろう、と僕は首を傾げる。運転手も車掌も、毎日のことだ。新人ならいざしらず、飽きるほどにこの機械的な声を流しているはずなのだ。どの位置のボリュームで、どれくらいの音圧を生み出すのか、そんなことは知っているはずだ。気温のように上下するでもない。天気のように、急転するでもないのだ。




 頭上にあるモニターを見上げる。映像がめまぐるしく動き、文字がチカチカと流れる。いつからだろう。耳よりも目ばかりが珍重される時代になった。昔はこんなモニターなんていらなかった。走る音、話す声、流れる空気だけで成立っていたはずだ。テレビの世界も同じだ。効果的な音、話す声、そして流れる画だけで成立っていたはずだ。文字は、なんのためにそこにあるのだろう。




 静かに、と僕は呟く。誰にも聴こえないように、僕にだけ響くように。それは声にだけ向けられた言葉ではない。あらゆる事象に向けられた言葉だ。世界だけでなく自らの内側も含めた、あらゆる事象に。




 ラジオを想う。平和の象徴ではないか、と錯覚すら憶える。ただひたすらに声が流れ、時に音楽が包む。もちろん、うるさいこともある。でもそんな時はつまみを回してしまえば良いだけの話だ。また何処かで、平和な静けさが流れている。




 ―プシュゥゥゥゥ―




 大きな音をたてて、ドアが閉まる。まだまだ遠いな、と僕は思う。




 あわせて目を閉じる。眠くはない。ただ心を落ち着かせているだけで。




 


 「ストップ!」






 ふいに目を開ける。今のは誰の声だろう。周りをよく見つめてみる。他の誰も変わっていない。声を気にするような様子もない。僕は耳に触れる。自分の耳がおかしかうなったのかもしれない、と思う。




 「……楽町、有楽町……」




 うるさい、と僕は思う。有楽町。そんなことは知っている。さっき飯田橋を出たのだ、次は有楽町に決まっている。




 待て、と僕は思う。飯田橋の次が、有楽町? 一文字ずつをしっかりと思い浮かべながら、反芻する。いいだばしの次が、ゆうらくちょうだって?




 そんな路線はない。仮にあったとしても、僕が毎日乗っているのはそんな路線じゃあない。どうなっているんだろう。僕は眠ってもいない、気絶もしてない。ずっと意識は明瞭だったはずだ。




 空白、と僕は思う。ひたすらの空白。




 この空白が意味することは何か。必死に僕は考える。けれど、その答えは見えない。




 見える、はずが、ない。




 空白は僕そのものであり、僕自身が空白であることに、僕は気付いていない。気付くはずがない。




 空白は空白であり、空白でしかなく、空白以外の意識は持てないからだ。




 空白、と僕は思う。




 ずっと、ずっと、空白、と思い続ける。






 ・「心」




 「君は今、心をどうにかしたい、と考えている」




 影は腕組みをしながら僕を見つめている。相変わらず、真っ直ぐな指摘をする。婉曲的な表現も得意だというのに、どうしてこれほどまでに真っ直ぐにもなれるのだろう。




 「そして君は今、心を探している」




 「うん、そうだね。考えているし、探している。何の異論もない」




 「君はどうしていつも、そんなに不器用なんだろう。そして、そんなに君自身を大切にしないんだろう。俺にだっていい加減うんざりしてこないのかな」




 「性分、なのかな」




 「何を悟ったようなことを言ってるんだよ。分かってるのか? 君には、そんなに時間はない。少なくとも君自身が考えているよりも、もっとだ。君だって、もうすぐ若くなくなるんだ。やりたいことも思い通りにいかなくなる。聞いてるか? 君には、時間は、ないんだ」




 「分かってるよ、十分ね」




 分かってる、と僕は繰り返す。本当にそれは分かっているのだ。いつまでも若くいられるわけじゃない。いつまでも考えていられるわけじゃない。いつまでもこうしていられるわけじゃない。




 「君は、あがいている。それも、あがいても仕方がないところで。君が今いるところであがいても、何にもならない。生み出されるのは空虚な時間と、空虚な感情と、空虚な日々だけだ」




 「それも、知ってる」




 嘘じゃない。それも総て知っている。時間や感情や日々だけじゃない。そこに存在する、あるいは生まれ来る様々な空虚を知っている。空虚が生み出す空虚だって知っている。




 「どうして、気付いているのに、やめないんだい。簡単なことじゃないか。やめると決めればいい。ただそれだけのことだ。何も悪いことはしていない。誰も、何も。珍しいぜ、俺がこんな風に直接的に勧めるのはね」




 「やめたくないわけじゃない。やめたほうが、健全なのも知っている。やめたほうが、幸せなのも知っている。でも、まだやめるわけにはいかないんだ」




 「どうして?」




 「たぶん、やめるのは僕であって、同時に僕ではないからだと思う」




 「君であって、君ではない」




 「バカなことを言っているかもしれない。でも、そうなんだ」




 それしかないんだ、と奥歯を噛み締める。かすかに血の味がする。良かった、と僕は思う。まだ血が流れている。赤い血が、ゆっくりとでも流れている。そして確かに、僕は生きている。




 「どちらに転んだにせよ、早かれ遅かれ、君は傷つくんだぜ。怒りもする。涙だってする。理不尽な悲しみに襲われるし、理不尽な理屈に頭を抱えるんだ。どうしてそれを望む? 今ならまだ間に合う。まだ少し時間はある。整理をする時間だ。その時間で君は多くを整理すればいい。そうすればどちらに転んだにせよ、傷はすごく浅くて済む。怒る必要も、涙だって最小限だ。理不尽な悲しみは軽減されなくとも、理屈に頭は抱えなくていい、ましてや従わなくていい」




 「そうかもしれない。うまく整理をしていけば、ほとんど僕は無傷で済むかもしれない、少なくとも表面的にはね。そして整理の精度をあげることにより、深層的にもぐっとラクかもしれない」




 「それも、知っている?」




 「うん、知っている」




 「何故だよ」




 影が顔をしかめる。本当に本当に辛そうに顔をしかめている。申し訳ないな、と僕は思う。僕は周りの人だけでなく、影までも傷つけている。




 「フェアじゃないからだよ」




 「フェア?」




 「そう。僕がやめることは簡単だよ。それくらいのコントロールは出来る。僕は対した人間じゃないけれど、それくらいは出来る。でもそれは、僕が出来る、というだけだ。救われるのは僕だけだ。そんなものはフェアじゃない」




 「でも、君以外に救われる必要のある人なんて、いないぜ。今の君の状況ではね。ただ君は一人なんだよ。君一人がどうなるか、という問題だ、最終的にはね。なのに、君は誰を気にしているんだろう? 何に対してフェアでありたいんだろう?」




 フェア。そうだな、と僕は微笑む。何に対して、フェアでありたいのだろう。




 「はっきり言って、分からない。僕が僕に対してフェアでありたいのか、それとも誰かに対してフェアでありたいのか。でもこれだけははっきりとしているんだ」




 「何かな?」




 「僕は、悲しませたくない。嫌な思いもさせたくない。傷つけたくもないし、涙だってさせたくない。出来うるなら、そんなものは存在しなくていい。たとえ、それが誰であっても。どんな誰であっても、だ」




 「だから、今は君しかいないんだぜ、君しか。他に誰もいない。君には、誰もいない。誰であっても、なんて関係ないんだ。どんな誰も、いないんだ」




 「誰もいなくても。ここに今誰もいなくても、それこそ関係ないんだ。実際的なことじゃないんだよ、観念的な問題なんだ」




 そう、観念的な問題。観念の中での誰か。




 「で、それじゃあ、どうするんだよ? 君は、どうしたいんだよ?」




 「僕は……」




 「君は?」




 「僕は、笑っていたい」




 「……なんだ、それ? 笑っていたい? それが何の解決になるんだろう。それが、何の意味をもつんだろう?」




 影が困惑している。意味なんてないんだ、と叫びたくなった。




 「意味なんて、ないんだ。悪いけれど。解決にもならない。ただただ、僕が損なわれるだけだ」




 「俺に、それを見ていろ、と?」




 「うん。知っているとおり、僕は弱い人間だからね。損なわれている間、一人でいたくないんだ。一人でいると、損なわれすぎてしまう。取り返しがつかなくなる。側にいてくれると、随分と助かる」




 「しばらく、こっちにいれば良いのかな、俺は」




 「そうして欲しい、と思っている」




 厳しいことを言っている。影は、消耗する。もともと、こちらの存在ではないのだ。端々から消耗していく。僕は、それも知っている。知っている上で、影を望んでいる。そうするしか、ないからだ。




 「オーケー、分かったよ。こっちにいよう。君の側にいよう。俺は、何も出来ないけれどね」




 「それとも、僕がそちらに行こうか」




 「バカいっちゃいけない。君がこっちに来ちゃいけない、絶対に、だ。そんなものを俺は望まない。君には確かに時間はない。でも、まだ早すぎる。こっちは、早すぎる」




 「そうか。悪いね」




 「大サービスだぜ、今回限りの」




 「ありがとう、本当に」




 「礼なんて、いらない。当たり前のことだ」




 「眠るよ」




 「それでいい。朝になったら、たっぷりと水を飲むんだ。靴紐を結ぶんだ。そして前に進め」




 「そうだね。水を、飲む」




 「眠りな」




 影の声が遠のく。僕の意識が遠のく。本当に朝なんてものが来るのか、と僕は思う。このまま、夜が続けばいいのに。




 影と心が、いつの間にか隣にいる。




 眠る。






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 あー、疲れた。これって3日分の更新だよね、よく考えれば。




 すごく長い。でも、まだ足りない。時間がない。




 次の休み、と考えを馳せる。次の休みは文章を書こう。ただの文章。




 arlequin